前述したように、MX-30とクロスオーバーのCX-30のボディサイズは
全長×全幅:4395mm×1795mm
ホイールベース:2655mm
で共通である。
だから、MX-30がCX-30のEV版だ、と思うのは早計のようだ。「MX」というモデル名は、マツダが新しいことにチャレンジする際に用いられるもの。単なるCX-30のEV版にはMXは使えない……のだ。
それは、ボディのプロポーションを比べてみればよくわかる。また、これまでの「魂動デザイン」の路線とはまったく違う「HUMAN MODERN」というデザインコンセプトを採るため、ボディデザインもまったく違う。これも両モデルを並べてみることで検証してみよう。
全体に言えるが、電気自動車のMX-30は直線基調のデザインをとる。最大の違いは、マツダ・デザインの「顔」であるシグネチャーウィングがMX-30ではないことだ。これまでとまったく違うフロントフェイスをMX-30は採用している。
フロントフードの下に内燃機関(エンジン)を積まないMX-30はフロントグリルから冷却用の空気をCX-30のように取り込む必要がないため、グリルは非常に小さい。それに対して、マツダのエンブレムが大きくなって存在を主張している。
全体に丸みを帯びたCX-30に対してMX-30は、やはり直線基調。両モデルのフェンダーアーチの形状が違うこともわかる。半円状のCX-30に対してMX-30はやや角ばったデザインを採用している。
違うのはCピラーの角度。MX-30の方が角度が寝ていて、同じクロスオーバーながら、MX-30の方がよりパーソナルなクーペライクデザインになっている。したがって、ルーフはCX-30の方が後ろに伸びている。これは後席の居住性がCX-30の方が高い、ということを意味している。
またサイドのパネルの映り込みを見ると、CX-30の複雑な麺構成に対して、MX-30のシンプルな面構成の違いがわかる。
サイドビューも両車大きく違う。CX-30はフロントに向けてノーズが低く下げていくが、MX-30はノーズを下げない。
またAピラーの角度もMX-30の方が立っている。ここはCピラーとは逆だ。つまり、MX-30は前席重視ということだ。
また、MX-30は観音開きのドアを採用するが、だからといってフロントドアが大きい(長い)わけではない。リヤドアが極端に短いのだ。また、Cピラーに向けてキックバックするCX-30に対して、MX-30はあくまでも水平基調のままで、リヤコンビランプまで続く。
ここでも丸みを帯びたCX-30に対してMX-30は直線基調のデザインをとる。センターコンソールのデザインもまったく違う。
こうして見てくると、MX-30がマツダの新しい未来を開く重要なモデルであることがわかる。日本発売がいつになるか未定だが、新しい「MX」の試みを早く日本の街中で試してみたい。