エンジンは最高出力が300ps、最大トルクが 420Nm(DCT)/400Nm(MT)で、ベースモデルのメガーヌR.S.の279psと390Nmよりもそれぞれ引き上げられている。言うまでもなくメガーヌR.S.史上で最もパワフルなエンジンだ。
シャシーはコーナリングスピードの向上を目的に、メガーヌR.S.のダンパー、 スプリング、アンチロールバーのレートを高めてロールを抑えた「シャシーカップ」かを採用する。
このシャシーに、走行安定性と高い操舵性を両立するトルセンLSD、冷却性能の向上 と軽量化を実現した前輪アルミ製ハブ&鋳鉄製スリット入りベンチレーテッドディスク、スポーツエキゾーストを装備し、クローズドコースでのスポーツドライビング性能を高めている。
もちろんすでにメガーヌGTやR.S. に採用されている4コントロール(4輪操舵システム)、ダンパー内に第2のダンパー(セカ ンダリーダンパー)を持つ4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(HCC)も搭載される。
メガーヌR.S.でも採用されている4コントロールとは、低速域では逆位相(前輪と逆方向に舵角が与えられる)とすることで旋回性能を高め、高速域では同位相とすることで安定性を高めるもの。逆位相は最大で2.7度、同位相は最大で1度だ。逆位相から同位相へ切り替わるポイントは、ノーマルモードとスポーツモードでは60km/hで、レースモードでは100km/hとなる。
4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(HCC)はラリーで培われた技術で、ダンパー底部に組み込んだセカンダリーダンパーによって最適な減衰力かを得られる機構だ。ダンパーがストローク目一杯にまで縮むとセカンダリーダンパーのピストンが減衰力を発生し、メインダンパーのストロークを制限することで通常のバンプストップラバーのような反力や振動をホイールに伝えることがない。その結果、路面からの大きな入力時にもタイヤがグリップを失わず、グリップ限界が高まり、またサスペンションのよりリニアな制御を容易にして乗り心地 も高められる。今回採用されたシャシー・カップでは、HCCのバンプストッパーの長さがフロントのみ10mm長くなり、スプリングレートを上げた場合と同じ効果を発揮している。
また、このシャシーカップは、メガーヌR.S.に対してスプリングレートをフロント23%、リヤ35%、ダンパーレートを25%高め、加えてフロントアンチロールバーの剛性も7%高めている。
そしてこのカップに採用されているトルセンLSD は、サイドギヤを分割し、結合部にワンウェイ構造のヘリカルスプラインを採用したもの。 左右輪のトルク配分比を高め、トラクション性や走行時のフィーリングを向上させるといった機能に加え、アクセルオンの時は差動制御が大きく機能してトルク配分比を大きく高める一方で、 アクセルオフの時には差動制御の効きを抑え、最適なトルク配分と ドライバビリティの向上を実現する。トルクバイアスレシオは 2.6:1 だ。
■メーカー希望小売価格
メガーヌR.S.トロフィー EDC:499万9000円
メガーヌR.S.トロフィー MT :489万9000円