REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●澤田優樹(SAWADA Yuuki)
錆び錆びの「ラット塗装」で、ビンテージムードをUP!
錆びてくたびれてしまったような外観に演出する塗装テクニックを「ラット塗装」と呼ぶ。ラット塗装は、バイク、クルマ、ディスプレイ、アートなど幅広く用いられる手法。あえて汚く、見すぼらしくすることにより、素材が持つ“趣のある旧さ”を、良い方向に引き出す効果を持っているのがポイントだ。
写真はメインフレームや前後のカブトフェンダーに、錆びをイメージしたラット塗装を施したシャリィカスタム。ペイントは、静岡県にある塗装のエキスポートショップ『ジェイ・グラフィックス』が担当した。
実際に近くで実車を見ても、外観は“ホンモノ”の錆びのよう。錆び(茶色の部分)の配置、バランス、デザインなど、すべてにおいて、素人には決して真似のできない、プロならではの仕上がりの良さがうかがえる。
ラット塗装とは対照的な、クラッチカバーやエアファンネルなどのメッキパーツ、アルマイト処理された美しい前後のアルミホイール、程よくローダウンされた前後の足周りもポイント。素人には真似のできないペイントの巧みさはもちろん、素晴らしいコーディネイト力を持つ、卓越したオーナーのカスタムセンスにも脱帽の1台だ。
ラット塗装の基本とは?
発売されてから年数の経っていないモデルでラット塗装を施した場合、ユニークではあるが、「こんなに早く錆びてしまうわけないでしょ?」と、見る者への“説得力に”欠ける。つまり、見る者が持つ、“潜在的な車両のイメージ”に背くことになるわけだ。
「年式など関係ない! カッコ良ければそれでいい!」と、あえて最新モデルを使うという手もあるが、その場合は、ベースモデルの選出、ラット塗装する箇所、範囲など、かなり高度なセンスが問われることを付け加えておく。
年数が経ち、錆が発生しているような保管状況の悪い車両は、基本的に太陽の紫外線や雨によって塗装もくすんでいる。仮に新車のような美しいベースカラーに、茶色い錆びをアレンジしても、チグハグした感覚が増してバランスの悪さが目立ってしまう。
上記のシャリィ改の完成度が高い理由の1つは、下地になっているベージュカラーも、あえてくすんだような、薄いものを選んでいること。錆びとなる茶色いカラーと違和感のある下地はNGだ。
「ラット塗装」は素人にも真似できる?
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