REPORT/PHOTO●伊藤英里(Eri Ito)
イタリアと言えば、ピザとパスタ。わたしはそう思っていたし、実際に訪れた印象も変わらない。個人的な感想を付け加えるならば、パスタよりもピザの方が、外食ではよく食べられているように感じた。イタリアのレストランでは、パスタよりもピザを食べるお客さんを多く見かけていたからだ。
というわけ……ではないのだけど、あのバレンティーノ・ロッシの町、タヴッリアを訪れて、ぐうとお腹が鳴ったころ合いにピザを食べることにした。ピッツェリアがあるのだから、食べない理由もない。よし、ピザだ。
ピッツェリアはオープンテラス席があって、昼間からたくさんのお客さんがピザやビールを楽しんでいた。みんな、ロッシのグッズを身に着けている。週末にはこの人たち、サンマリノGP観戦に行くのかなあ。そう思いながら眺めていると、どのお客さんもうれしそうだし楽しそう。好きなライダーの雰囲気をたっぷりと感じられる場所で、仲間と美味しいランチを囲んでいるのだから、そりゃあ笑顔にならずにいられない。
ピッツェリアではランチョマットがわりにメニューが置かれる。イタリア語だけではなく、英語表記もあるのでご安心を。メニューにはピザのほか、ファーストディッシュ、セカンドディッシュ、それからデザートなども並んでいる。何人かで訪れたなら、何品か頼んでシェアするのもよさそうだ。
残念ながら今回はひとりだったので、ピザ1択。トマトとツナ、オニオンのピザをオーダーした。イタリアであまり見かけない(と思う)ツナのピザというのが意外だったのと、ちょっと和風っぽくておもしろそうだったからだ。
ほどなくして運ばれてきたピザは、もちろんアツアツ。そのサイズは大きめ……と言っても、おそらくこれはイタリアでは標準サイズ。しかも、サイズは選べない。イタリアでは、きっとこのサイズをひとりでぺろりと平らげるのが通常なのだろう。
弾力のある生地を切り分けて、ぱくりと一口。トマトとツナ、チーズがとてもよく合っている。実は、海外のツナというのは日本のツナと違うのでは、という思惑もあってこのピザをオーダーしたのだけど、意外にもその味は日本のそれに近い。オニオンはしっかり焼かれておらず、しっとりとしながらもシャキシャキの歯ごたえ。後乗せだろうか? このオニオンのすっきり感が、ピザをしつこくない味に仕上げていてとってもバランスがいい。きっとこのピザ、日本人が好きな味だ。
タヴッリアを訪れたなら、ぜひともピッツェリアでランチまたはディナーを食べてみよう。なんといっても、周りがロッシ一色で、お客さんもロッシファンばかり。ピザのおいしさとともに、その雰囲気を一層味わえること間違いなしだ。