学生フォーミュラ日本大会2019は、使用する会場の都合によって、例年より開催日程が1週間前倒しとなり、8月27日から5日間の日程で開催。海外からの参加を含む「89」の大学、短大、専門学校のチームが、日ごろの成果を披露した。




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TEXT:松沼 猛(MATSUNUMA Takeru)

 今大会は、有力校の実力差が縮まった。直線、コーナー、スラローム、シケインなどを設けた約800mコースのタイムを競う「オートクロス」では、約3秒の間に8チームがひしめき合うカタチとなった。これによって、成績上位6校が走る最終プログラム(約20kmの連続走行を行なうエンデュランス)のファイナル6は、どこが優勝するかわからない状況となったが、安定しない天候の影響か、6チーム中4チームがマシントラブルでリタイア。その結果、逆転で名古屋工業大学が総合優勝を飾った。




 今年のマシンを振り返ると、まずはEVクラスに過去最多の26チームが参加したことを取り上げないわけにはいかない。そのうち、中国勢をはじめとした14チームが海外チームだ。まさに現在の自動車業界の流れを反映した縮図だが、トピックは、3連覇を果たした名古屋大学EVチーム。昨年とは同じ駆動系を使わず、果敢に4輪インホイールモーター化を進めてきた。日本チームとしての意地、強さを感じた。




 ICVクラスでは、海外チームの影響か、単気筒エンジンで軽量化を図ってきたチームが増えてきたように思える。ただし、世界の流れは、ターボ、インタークーラー化が進み、車重も160kg前後で製作して上位に入ってきている。日本大会も、来年以降は、高出力化へ向かうのではないだろうか。




 今大会、とくに注目を集めたのが、デザイン審査でグランプリを獲得した京都大学だ。昨年の仕様からフレーム、シャシー、エンジンをすべて変更した。同じコンセプトではこない。しかも、ちゃんとマシンとして完成している。しっかりと考えてクルマを造れるのは京都大学の強みだ。以前は、上智大、大阪大、豊橋技術科学大など、速いチームがデザインファイナルに残ることはあったが、ここ最近の傾向では速さとデザインがリンクしないように思える。ただし、名古屋工業大学や京都工芸繊維大学といったチームはその可能性を感じる。来年は期待したい。




 学生フォーミュラを俯瞰すると、傾向としては、上位にくるチームほど研究熱心であり、指導者である先生の力を借りず、自分たちで考えて行動しているように思える。他のチームが新しいことを仕掛けてくると、そのチームのピットへ行って、担当者に調査している姿をたくさん見かけた。誤解を恐れずに言うと、偏差値は関係ない。常に「なぜ?」という疑問を持って、自分たちで考えてマシン造りを行なう。学生フォーミュラの基本概念と結果が一致している証拠だろう。

各チームのマシン紹介ページは以下のリンクから!

ICVクラス

1:大阪大学2:京都工芸繊維大学3:Tongji University4:名城大学5:芝浦工業大学6:東海大学7:名古屋工業大学(総合優勝)8:神戸大学9:東京理科大学10:横浜国立大学11:福井大学12:静岡大学13:茨城大学14:東京農工大学15:東京都市大学16:日本工業大学17:Kasetsart University18:Universitas Negeri Yogyakarta19:山陽小野田市立山口東京理科大学20:早稲田大学21:静岡理工科大学22:Universitas Gadjah Mada23:日本自動車大学校24:愛知工業大学25:ホンダテクニカルカレッジ関東26:京都大学27:Prince of Songkla University28:上智大学29:山梨大学30:帝京大学31:九州工業大学32:千葉大学33:大阪工業大学34:埼玉大学35:岐阜大学36:岡山大学38:大阪産業大学39:ものつくり大学40:金沢工業大学41:北九州市立大学43:トヨタ名古屋自動車大学校44:新潟大学45:金沢大学46:鳥取大学47:同志社大学49:立命館大学50:Institut Teknologi Sepuluh Nopember51:摂南大学52:日本大学理工学部53:久留米工業大学54:静岡工科自動車大学校55:Sebelas Maret University56:東京大学57:九州大学58:群馬大学59:広島工業大学61:近畿大学62:富山大学63:大阪府立大学65:明星大学66:工学院大学67:崇城大学68:千葉工業大学69:広島大学70:Hanyang University75:Harbin Institute of Technology at Weihai76:National Taipei University of Technology79:首都大学東京80:Hoseo University

EVクラス

E1:名古屋工業大学(クラス優勝)E2:Tongji UniversityE4:National Tsing Hua UniversityE5:一関工業高等専門学校/岩手大学E6:トヨタ名古屋自動車大学校E7:神奈川大学E8:東北大学E10:トヨタ東京自動車大学校E11:Universitas Islam IndonesiaE12:Institut Teknologi Sepuluh NopemberE16:Rajshahi University of Engineering &TechnologyE18:National Cheng Kung UniversityE19:National Taiwan UniversityE20:Jilin UniversityE21:National Taipei University of TechnologyE22:Harbin Institute of Technology at Weihai EVE24:Universitas Gadjah MadaE25:成蹊大学E26:日産京都自動車大学校E27:神奈川工科大学
情報提供元: MotorFan
記事名:「 全89チーム学生フォーミュラマシン完全紹介 母校のマシンを探せ!|全日本学生フォーミュラ2019