しかしながら、それら電動モビリティーの普及には長い充電時間を短縮することが課題であることに加え、使用後のバッテリーの再利用まで見据えた取り組みが必要。現在、同国での二輪車・四輪車市場において、日本メーカーが主流を占めていることから、日本が同国において果たすべき役割は大きいと言える。
このような背景の下、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、インドネシアでの電動モビリティー普及の課題解決を目的としたバッテリーシェアリングシステムの実証事業※1を立ち上げ、分散型エネルギー資源としての可搬型蓄電池シェアリング実証研究の実施について、インドネシア工業省と基本協定書(MOU)を締結した。あわせて、NEDOが助成先として選定した本田技研工業、パナソニック、パシフィックコンサルタンツ、PT.HPP Energy Indonesiaの4社と、インドネシアにおける協力会社であるPT Astra Otoparts Tbk※2が、本実証研究を共同で実施することで合意し、協定付属書(ID)を締結した。そして、本田技研工業とパナソニック、パシフィックコンサルタンツ、PT.HPP Energy Indonesiaは、インドネシアで電動モビリティー向けバッテリーシェアリングシステムを構築し、今般、本システムの実証研究を開始した。
本実証研究では、電動二輪車から着脱・持ち運び可能なバッテリーをユーザー間でシェアすることによる充電時間の短縮効果や、ICTを活用したバッテリー稼働状況の集中管理を含めたシステム全体の有効性を検証。実証で得られた結果をもとに、本システムを用いたビジネスモデルの確立を図り、インドネシアでの電動モビリティーの普及とともに環境負荷低減を目指す。
電動モビリティーの弱点である充電時間の問題を根本的に改善するため、可搬型蓄電池シェアリングシステム(着脱・持ち運び可能なバッテリーを電動バイクから切り離してユーザー間でシェアする方式)を採用する。また、バッテリー稼働状況の集中管理を行い、交換バッテリー配置の最適化を含めたシステム全体の有効性を検証する。実証期間は、2019年8月から2021年2月までを予定している。
具体的には、バンドン市とデンパサール市に設置した充電ステーションで、電動バイクユーザーがスマートフォンアプリなどを通じてバッテリーをシェアする方式を導入する。電動バイクの使用頻度が異なるユーザー間でのバッテリーシェアリングにより、バッテリーの劣化度合いの平準化が図られ、長寿命化も期待できる。
また、西ジャワ州西バンドン県タングシジャヤ村では、バッテリー単体の二次利用サービスに関する実証も行う予定。小規模水力発電を主要電源とする一般家庭に、電動バイクでの使用済みバッテリーと充放電器を設置し、夜間には水力発電設備から得られる電力をバッテリーに蓄電して、電力需要ピーク時には補助電源として活用することで、電動二輪車での用途を終えたバッテリーの、電力分野での二次利用の有効性を検証する。
実証研究の開始にあわせて、28日、インドネシア工業省において、現地政府やNEDO、助成先企業の関係者らが出席し、運転開始式を開催した。