2010年発売の日産ジュークは、コンパクト・クロスーバーという新しいジャンルを築いたパイオニアだ。個性的で何者にも似ていないスタイル、ほどよいサイズ感、都会的なイメージ……成功の理由をあとから考察するのは簡単だ。
このカテゴリー、世界的に人気か、といえば、じつはそうでもない。最大マーケットの北米・中国ではもう1サイズ上のクラスの方が人気だ。コンパクト・クロスオーバーの人気がもっとも高いのはヨーロッパだ。今回は、販売台数のデータから、マーケットを読み解いていこう。
他メーカーがジュークの快進撃を指をくわえて見ているだけ、ということもちろんない。最初にジュークの後を追ったのは、日産とアライアンスを組むルノーのキャプチャー、そして同じくフランスのプジョー2008だった。
両モデルも大ヒットを記録。2014年にはシトロエンC4カクタス、フォード・エコスポーツ、ジープ・レネゲードが登場。2015年にマツダCX-3、フィアット500X、2016年にアウディQ2が続いた。
しかし、年間10万台以上のヒットとなったのは、ジューク、キャプチャー、2008の3モデルのみ。先行した3モデルがマーケットをリードすることになった。
そこにもっとも遅れて参入したのがトヨタ、そしてフォルクワーゲンだ。トヨタはご存知C-HRを欧州に投入。2017年には年間13万台のヒットとなった。ボルボも2017年にXC40を投入、2018年には4.7万台を販売している。現在のところ最後のフォロワーとなったのが、VWのT-ROCだ。こちらも発売すると2018年に14万台を売るヒットとなった。
ジュークが切り拓いたカテゴリーは、グラフに載せたモデルだけでも合計100万台を超えるマーケットを形成。各メーカーが鎬を削る分野となった。ここで勝ち抜くのにもっとも必要な要素は、「個性的でスタイリッシュなデザイン」だ。その意味でも、モデルライフは長くないはず。ジュークが2010年以来一度もフルモデルチェンジを受けていないのは、ある意味驚きなのだ。
マーケットをリードするジューク、キャプチャー、2008がC-HR、T-ROCの参入を受けてフルモデルチェンジをするのが2019年とほぼ同じ時期になるのもなかなか興味深い。
さて、9月3日に新型ジュークがどんなデザインで登場するか、楽しみに待とう。そのジュークが欧州以外の市場(日本や北米)に投入されるのか、それも見守りたい。