では、最初に、その総則とやらを見てみよう。
従来のオービスによるスピード違反検挙は、後日呼び出し(事後捜査)が原則。固定式オービスは「無人取締機」だから当然と言えば当然だ。
が、移動オービスはいわゆる「有人取締機」、マスコミの報道では「後日検挙」ばかりがクローズアップされているが、実は、その気になれば、その場で検挙することも可能だ。事実、三重県警も、それをもくろんでいる。今までも、都道府県警によっては「後日呼び出し」と「その場で検挙」(即日検挙)の二通りの処理を実施していると噂されていたが、それが本当だということが、これで証明されたというわけだ。
次は、気になる速度計測&撮影性能をチェック! まずは、肝心な速度測定性能は以下の通りだ。
LSM-300が速度を測定できるのは、40km/hから220km/hまで。試験運用時は120km/h以上は信頼できないと言われていたのだが、改良されたのだろうか。いずれにしても、ZONE30など、30km/h制限道路では、10数km/hオーバーで捕まる可能性があるということだ。誤差は0~-6%-1km/hとマイナス誤差しか出ないということになっているが、これはレーダー式オービスも同じ。それを鵜呑みにした裁判官が、誤測定を主張するドライバーに対して「メーカーは何百回もテストしているので測定値は正しい」ということで有罪判決を連発しているが、実はそれも試行回数が絶対的に足りないという意見もある。ま、いずれにしても「+誤差も出る」ということを証明できなければオービス裁判に勝つことは不可能なのだ。
ちなみに、検出対象車両が「2輪車以上」となっているが、確かに移動オービスは、後方から速度を計測し2輪車のナンバーを撮影することも可能ではあるのだが、果たして今後、2輪車の取り締まりにも活用するつもりなのか、ライダーにとっては気になるところだ。
続いて、撮影性能と運用諸元を見てみよう。
基本的な撮影性能は、固定式オービスと同様だが、固定式オービスは一部(Ls&新型L)を除いて一車線対応(一車線一端末)なのに対して、移動オービスは1台のカメラで多車線をカバーしている。となると、測定&撮影した車両を限定する必要があるのだが、「画面上において速度計測車両にマークを付すことができること」とあるように、「写っている他のクルマの速度を測った」疑いをかけられないように、きっちり対策されているということが、これで判明したわけだ。
また、運用諸元に関する注目点は、「レーダーセンサー対策が講じられていること」という一文。レーザー式オービスなんだからレーダー探知機を気にする必要は無いはずだが、総則に「レーザースキャン方式またはそれに相当する計測方式」とあるから、LSM-300と競合するレーダー式移動オービス、センシスMSSSもとりあえず候補に入っているというポーズなのかも。それよりこの春に発売された2種類のレーザー&レーダー探知機にどう対応するかというほうが興味津々だ。
では、最後に、「仕様」とは関係ないが、興味深い項目を見つけたので、掲載しておこう。どうやら三重県警は、移動オービスによる速度取り締まりを実施する際には、事前予告をしてくれるつもりのようだ。というか、移動オービスだけではなく、「事前警告板」もセットで注文、あるいはサービスさせようというつもりなの?w
というわけで、ベールにつつまれていた移動オービスの正体と、それによる速度取り締まりの実態がようやく見えて来たという感じだが、どうやら1番重要な、「レーダースキャン方式による速度測定」の精度については、相変わらず専門家の意見や検証を経て、国民に証明しようという気はないらしい。ちなみに、先日、東京地方裁判所で言い渡されたレーダー式オービス裁判の有罪判決の主文に「長年に渡り、広く一般的に採用され、利用されてきた計測方法だから精度に疑いの余地はない」ということが判決理由のひとつとして挙げられていたが、少なくとも現時点ではレーザースキャン方式に関しては、これは当てはまらない。いずれ裁判が起こった時に裁判所はどう対応するのか、注目です。
北海道のレーダー式オービス裁判の傍聴記は、こちら!移動オービスって何?という人は、こちら!