このほどホンダが発表したアナウンスは、こんな言葉で始まっている。
そしてこの方針に伴い、南米地域における適正な生産体制を検討した結果、2020年内にHARでのHR-V(上記メイン写真)の生産を終了することにしたという。
今後、HARはホンダのグローバルリソースを活用した供給により、アルゼンチンでの四輪車販売およびアフターセールス事業を継続することになる。
「四輪車を生産してきたカンパーナ工場は、二輪車の生産に集中するとともに、アルゼンチンの二輪車市場におけるマーケットリーダーとして、国内のリソースを活用した現地調達をさらに進め、強固なサプライチェーンを構築することで、より競争力のある商品を市場に投入していきます」
「そして引き続きアルゼンチンのお客様に対し、魅力的な商品をお届けしていくとともに、アルゼンチンにおいて創業以来40年間にわたり継続してきた、地域社会への貢献に努めていきます」
そんな言葉で締めくくられた今回のアナウンスだが、今回の決定の裏には8月11日(現地)に行われたアルゼンチン大統領予備選の結果がちらついて見える。
現職のマクリ氏がポピュリストの野党候補に大差をつけられ、保護主義政権の樹立が可能性を帯びてきたのだ。今回の予備選の決定を受け、アルゼンチンの通貨や株は一斉に売られ、デフォルト(債務不履行)の懸念も広がっている。
ホンダは今回の決定は大統領予備選の結果は無関係としている。確かに予備選と今回のアナウンスの間にはあまりに時間がない。
さらに言えば、完全に撤退するわけではなく、二輪の生産は継続するとしている。ひとまず現段階では、うがった見方をしないほうが賢明だろう。