PHOTO◉渡辺昌彦(WATANABE Akihiko)/モルツ REPORT◉モルツ
■全長×全幅×全高:1535×585×985㎜
■シート高:690㎜
■乾燥重量:49㎏
■エンジン:空冷2スト単気筒49㏄
■最高出力:5.0㎰/6500rpm
■最大トルク:0.57㎏ m /6000rpm
■燃料タンク容量:3ℓ
■前後タイヤサイズ:2.50-10
■当時価格:10万3000円
マルボロ、ラッキーストライク、ロスマンズ、ゴロワーズ、ハーベー、キャメル……二輪四輪問わず、レースではタバコメーカーがスポンサードしたチームが多数存在し、タバコを吸わなくとも銘柄は知っているというバイク乗りは少なくない。とくにレーサーレプリカが繁華した80年中半から90年代にかけてはフルカウル車のみならずスクーターに至るまで、各スポンサーのロゴやレーサーのイメージを取り入れたバリエーションがリリースされた。
今回ご紹介する車両もその中の一つ。詳しくは下を見ていただきたいが、黒×金の激シブなJPSカラーを採用した限定モデルだ! JPS(ジョンプレイヤースペシャル)と言えば、甘すぎず程よい辛みがあり、独特の香りが……おっとこれはタバコの話(笑)。
JPS自体はF1を中心に半世紀前から四輪レースをサポートしていて、モータースポーツとの関わりこそ深いけれど二輪業界とはさほど親しくはない。しかし縁あってホンダ、しかもイブパックスSという、ソフトバイクの流れを辿る絶妙な車種をベースにした特別仕様車が発売されたのである。
話は変わり希少なこのモデルを発見したのは、国道20号線(甲州街道)沿いにあるバイクショップ「モトジータ」。軒先には原付からビッグバイクまで多種多様な中古車が並び、いっぽう店内にはスカッシュやフルオプションを備えた新車級のズーク、さらに限定モンキーといったモトチャンプ的に大好物なミニバイクがズラリ! 同店の取締役・篠木さんに早速伺ってみた。「店内にあるミニバイクはもちろん販売車両なのですが、ほとんど私の趣味ですね(笑)。今年で41歳なので80年代当時は免許を持っていない世代ですけどこの時代のバイクには感銘を受けるものがたくさんあります。また10代からずっとミニバイクで走り屋&レースをしていた影響もあって、とくにスクーターは思い入れが深いんです」。
さらに話を伺っていくとマニアックな面も見えてきた。例えば、現在パッソルにJOGのエンジンを載せた通称“パッジョグ”を製作しているのだが、「停止→始動→走行」の3段階で切り替える昔ながらのキーシリンダーを残したいがため、わざわざ配線を加工したり、一押しの中古車がライブDio ZXやJOG ZRではなく、ディスクブレーキ仕様のレッツ2Sだったりとこだわりは相当なもの。「廉価な車両をベースにチューンしてハイパフォーマンスなモデルに立ち向かうのが浪漫」と語るなど、熱いバイク乗りの顔も覗かせてくれた。
そんな彼のお眼鏡にかなったこのJPSカラーもやはりディープな一台と言える。80~90年代の(しかもひと癖ある)バイクが好きなら、一度訪れてみるとハッピーな出会いがあるかもしれない。