MAINREPORT●川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)
昨今バイクの販売数が下がっているのは、主に原付一種(50cc)クラスの販売数の減少が主な理由だ。その原付一種市場に喝を入れるべく、アイドリングストップ機構採用の次世代eSPエンジンを搭載するなど、最新のメカニズムを盛り込んで2014年2月に登場したのがDUNK(ダンク)だ。国内の50ccスクーターラインナップの中で、エンジンからフレームまで全てを新開発するのはトゥディ以来12年ぶりということも、ホンダのやる気を感じさせた。
発売から5年を経ているのだが、未だに旧さは感じさせない。開発コンセプトは「若い世代の通学や通勤をはじめ、普段の生活の楽しみを広げるスクーター」で、デザインも既存のスクーターには無い、新しいスタイリングを目指したという。LEDとクリアレンズを採用したテールランプ&ウインカーや、フロントからテール部分のボディサイドに繋がるメタリックモールにより近未来的な雰囲気すら漂う。リヤの重厚感に対して、バーハンドルと小ぶりなメーターパネルを組み合わせたフロントのシンプルな軽快感は、カスタマイズされたような印象だ。
スポーツ気分が味わえる走行性能だけでなく、広くクッション性の高いシートは少し遠出しても疲れにくく、ワンクラス上の居住性も持ち合わせている。大柄で体重のあるライダーでも、他の原付スクーターに比べて不満は感じないはずだ。ちなみに、この50ccとしては前後に長いフラットなシートは、背負ったリュックをシート後方に乗せることができるよう配慮されているそうだ。
250cc以上のバイクに乗っている人にとって、ジョルノもDUNKもセカンドバイクになるが、ジョルノが近所のお買い物バイクなら、DUNKは通勤、通学だけでなく、授業や仕事を終えたアフターファイブに、ちょっと遊びに出掛けたくなるバイクだ。容量23ℓのシート下スペースも、スクーターの中ではトップクラスの積載量が確保されている。現行の50ccスクーターの中で、最も行動許容範囲が広くスポーティと言えるだろう。
フロア部分は、足を斜めに置くことができるフットレストを確保し、兄弟車のジョルノとタクトより自由度が高い。また、給油口はフロア底面に備えられている。
車名・型式:ホンダ・2BH-AF78
全長(mm):1,675
全幅(mm):700
全高(mm):1,040
軸距(mm):1,180
最低地上高(mm):110
シート高(mm):730
車両重量(kg):81
乗車定員(人):1
燃料消費率*1(km/L):
国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…75.3(30)〈1名乗車時〉
WMTCモード値(クラス)…58.4(クラス 1)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):1.8
エンジン型式:AF74E
エンジン種類:水冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(㎤):49
圧縮比:12.0
最高出力(kW[PS]/rpm):3.3[4.5]/8,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):4.1[0.42]/6,000
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量(L):4.5
変速機形式:無段変速式(Vマチック)
タイヤ:
前…90/90-10 50J
後…90/90-10 50J
■製造事業者/本田技研工業株式会社
【川越 憲】
二輪カルチャーにどっぷり浸かった華の50代(1967年生まれ)! 愛車はBMW R1150GS・BUELL XB9SX・TZR250(1KT)。今回、久しぶりに乗った50ccスクーターで都内を走り回り、二段階右折に悪戦苦闘!
バイクジャンルを中心に活動するフリーライター・編集で、有限会社遊文社・代表取締役も務める。BiGMACHINE(内外出版社)や培倶人(エイ出版社)など雑誌、WEB問わず様々なメディアで活躍中!