*内部の温度を長時間一定に保つように制御された容器。この場合、試験機内の水素ガスの温度が-30℃から120℃の間に保たれている。
図3は、一般軸受鋼製の玉軸受を水素環境軸受評価試験機で評価した例。比較のため、大気環境で同様の評価を実施した結果も示している。水素環境で転動した軸受は、大気環境で転動した場合に比べ、半分以下の時間で剥離が発生することがわかる。
図4は、水素環境試験後および大気環境試験後の軌道直下のミクロ組織を示している。 水素環境試験サンプルは、剥離部近傍に白色の組織変化(以下、白層)を伴い、顕著な疲労組織が見られるのに対し、大気環境試験サンプルは、異常な組織変化もなく、水素大気環境に比べ疲労組織が軽微。 このことから、一般軸受鋼製の玉軸受は、水素環境において、軌道直下で転位の活動が促進され、白層を伴う早期剥離が発生する水素環境特有の破損モードを確認することができた。
図5は、一般軸受鋼および耐水素性を有する特殊ステンレス鋼の玉軸受を水素環境軸受試験機で評価した例。水素環境で転動した一般軸受鋼製の軸受は計算寿命の約2倍で剥離したのに対し、特殊ステンレス製の軸受は計算寿命の約12倍耐久している。本評価設備において、特殊ステンレス製の軸受の耐水素性を実証することができた。 このように、ジェイテクトでは、この試験機により、水素環境中における材料及び潤滑剤の評価が可能となり水素環境でも安心して使用できる軸受を開発することが可能になった。