マツダ3ファストバックの純正エアロパーツ装着車は「シグネチャースタイル」と名付けられた。それは、このクルマに与えられたアイテムがただの純正アクセサリーにとどまらずマツダ3のもうひとつのスタイルとして完成されたことを意味している。




REPORT●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)


PHOTO●神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

社内のデザインチームが生む「もうひとつのマツダ3」

 マツダ3のファストバック専用アクセサリーとして開発された「SIGNATURE STYLE(シグネチャースタイル)」。マツダ3用アクセサリーの中でも特に象徴的なスタイルを提案し、車両をトータルコーディネートするパッケージオプションである。




「シグネチャースタイル」というネーミング自体が初めて採用されたものだが、それはデザインプロセスや販売手法など、マツダにとっての新しい試みを表現した側面もあるのだそうだ。




 というのも、シグネチャースタイルのデザインはアクセサリー商品としては珍しいことに、マツダ社内のデザインチームが担当しているのだ。




 中国市場向けクロスオーバーSUV、CX-4のデザインを担当した小泉巌チーフデザイナーが監修を務め、引き算の美学とも表現されるマツダ3にパーツを加えるという、一見矛盾したテーマに真正面から取り組んだ。

「マツダデザイン」のあるべき姿を社内で共有している現在のマツダ。シグネチャースタイルにも共通した美意識を表現するべく、デザインはマツダの社内チームが担当した。アクリルバイザーはシグネチャースタイルとしての設定ではないが、車体に溶け込むデザインで走行ノイズを従来比25%も抑制した。

 そもそも後付けする外装パーツのデザインは、車体のどの位置に取り付けるかをミリ単位で明確に定義しなければ、あるべき姿も決まらない。




 そのためアクセサリーのデザインが車両デザインに寄り添い、開発段階から社内で情報が共有されることは、得難くも理想的な姿なのだ。ある意味でコンプリートカーをいちから生み出すようなプロセスでデザインされたシグネチャースタイル。マツダ3のデザインと見事に調和しているのはご覧の通りである。

まるで標準バンパーかのような統一感を生み出すフロントアンダースカート。カラーはブリリアントブラックとなり、上質なスポーティさを表現。五角形グリルの頂点と接するセンターリブがデザイン上のアイコンである。

フロントアンダースカートと同様、センターにリブを設けたリアアンダースカート。これはマツダ3のデザインスタディとなった「マツダ魁CONCEPT」のように、車体中央を一本の軸が通っているイメージを表現している。

 シグネチャースタイルは、フロントアンダースカート+リアルーフスポイラー、サイドアンダースカート、リアアンダースカート、BBS社製鍛造18インチアルミホイールから構成されている。




 それぞれ単体での装着も可能だが、通常合計価格が71万9936円となるのに対して、パッケージ価格は49万8000円と、圧倒的にリーズナブル。その価格設定もまた、マツダデザインの信念を保ちながら、マツダ3に上質かつスポーティな魅力を加えるシグネチャースタイルを、ぜひコンプリートで楽しんでもらいたいという想いから生まれたものだ。




 他人と同じスタイルでは飽き足らないけれど、マツダ3の惚れ惚れするようなデザインは損ないたくない。そんなわがままな想いに対する理想形を実現することができるシグネチャースタイルは、マツダが自信を持って提案する「もうひとつのマツダ3」と言うことができるだろう。

フロントアンダースカートとのセット販売となるリアルーフスポイラー。こちらはボディ同色の設定となっている。走行テストによる操縦安定性、車体のリフトバランスも検証済みで、しっかりと空力効果が認められている。

後端がキックアップしたデザインも「マツダ魁CONCEPT」を参考にしており、装着すれば「走るコンセプトモデル」の実現に一歩近づくことができる。

コンセプトカーの「VISION COUPE」のホイールデザインを再現したBBS社製鍛造ホイール。サイズは18×7.0Jで、1本あたり1.5㎏の軽量化と高剛性を実現。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 深まる精髄