NEV規制の経緯は、2009年策定の自動車産業調整振興計画のなかに「従来の内燃機関ではない」新エネルギー車のモデル事業を立ち上げた時点まで遡ることができる。これが2012年に自動車産業発展計画に組み込まれ、2013年から国家の補助金事業としてBEVとPHEVを生産する自動車メーカーへの補助金交付が始まった。2015年には充電インフラ整備計画がまとまり、国家予算による急速充電設備の設置が始まった。そしてこの年、中国政府は「中国製造2025」という2025年を目指した工業技術革新計画の中にNEVを組み込んだ。
自動車メーカーに一定のNEV生産・販売を義務付けるクレジットを与え、達成できないメーカーには罰金を課すという大枠は決まっていたが、そのクレジットの設定方法について前述の工信部と国家発展改革委員会(発改委)とが対立したことでNEV規制は導入前に足踏みをすることになる。メーカーごとに義務付けるクレジット数は工信部案のほうが厳しく、逆にクレジットの取り引きについては企業間取引でいいという工信部に対し発改委は「国務院管轄の炭素取引所による実施」という政府主導案を打ち出していた。最終的には工信部案に落ち着いたが、実は中国政府主導のNEV規制には、政府内が完全に一枚岩ではないという事情がある。