温室効果ガスの排出を削減する必要性の高まりと、世界中で電気炉の稼働数が継続的に増加していることを背景として、DRI(直接還元鉄)やHBI(ホットブリケット鉄)の利用は今後も拡大が予想されている。しかしDRIやHBIを製造するためには、現在利用可能な技術のいずれにおいても、ペレット化などの塊成化プロセスが必要。鉄鉱石の品質が低下しているため選鉱プロセスが避けられないことも、鉄鋼メーカーが直面している課題のひとつ。CO2を排出しない鉄鋼生産を推進するには、主に水素を使用するプロセスが最も望ましいとされており、今回同社が開発したソリューションは、これらの問題の全てに対応している。
建設予定のパイロットプラントは、予熱・酸化ユニット、ガス処理プラント、および還元ユニット本体の3つの部分で構成される。予熱・酸化ユニットでは、微粉精鉱が約900°Cに加熱され還元ユニットに送り出される。そして、還元ガスの水素がガス供給装置からフェンスを越えて供給される。排ガス用の廃熱回収システムが最適なエネルギー利用を可能にするほか、乾式集塵システムが各工程で排出される粉塵を処理する。還元ユニットから約600°Cの温度で排出されるHDRI(高温の直接還元鉄)は、後工程の電気炉へ供給されるか、あるいはHBI(ホットブリケット鉄)の製造に使用可能。パイロットプラントは、この画期的なプロセスを検証し、将来的な実機規模プラント建設に向けた基礎データを提供する試験設備として利用される。