REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
初代は2011年に登場し、今回のフルモデルチェンジで2代目となったドゥカティ・ディアベル。実際に跨り、サイドスタンドを払って車両を引き起こしてみると、車体が軽くなったように感じます。
しかし、公式スペックを調べてみると乾燥重量は218kgで、先代より8kg増しとなっているではありませんか。不思議に思っていると、五条さんがそのヒミツを教えてくれます。
「エンジンを40mm後方に搭載し、重心がライダー側に寄ってマスの集中化に貢献しています。そして、シートが載っているとボリューム感がありますが、新設計のリヤフレームも非常に軽量でクルーザーとしてはあり得ないテールエンドです」(五条さん)
重量物であるエンジンが車体の中心に寄り、シートレールなど末端にあるパーツがとても軽くつくられているから車体を引き起こしたときに軽く感じるのでした。これは運動性能にも大きく影響するので、試乗がますます楽しみになってきます。
また、初代はラジエターをサイドマウントにし、そのためにシュラウドの張り出しが特徴的でしたが、エンジン搭載位置をバックさせた新型では理想的といえる前方にラジエターを装着することができました。
刷新されたニューフレームではディメンションも見直され、キャスター角は28→27度となり、トレール量は130→120mmに。ダイキャストアルミニウム製の片持ちスイングアームは56mm短くなり、ホイールベースは1580→1600mmへと最適化されています。
キャスター角を立て、トレール量を減らしたフロントまわりのアライメント変更は、軽快なハンドリングが期待できるでしょう。
リアサスペンションもスイングアーム上に移動し、リンク比が見直されているのも見逃せません。路面追従性が高まり、スポーツ性能、乗り心地が飛躍的に向上しているはずです。
ハンドルバーにマウントされる3.5インチTFTカラーディスプレイも一新されています。先代ではスピード&タコメーターをLCD液晶、タンク上部に設置されるマルチメーターはTFT液晶としていました。
そして「テスタストレッタDVT」と呼ばれる1262ccの排気量を持つエンジンは、可変式バルブタイミング機構を搭載し、力強い加速と低回転域での滑らかさを両立。最大出力152PS/9000rpm、最大トルク12.5kg-m/8000rpmを発揮し、「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」といった3つを設定できるライディングモードによって、パワーデリバリーを電子制御します。
実際にモード設定をしてみましたが、メーターディスプレイを見ながらハンドル左のスイッチを操作すると、直感的にできました。
マッツさんによると、設定の変更はスロットルをオフにすればいつでも可能とのことです。
トラクション・コントロールは8段階の介入レベルを設定し、レベル1と2はリアホイールのスピンを高い次元で許容してスポーツライディングを意図します。レベル3〜6は、ドライコンディションでの優れたトラクションをもたらし、レベル7と8ではウェット路面でもスリップせず安全に走れるよう介入度を強めるといった具合です。
そして、新型ディアベル1260には上級グレードの“Sバージョン”もラインナップされます。ドゥカティではよりスポーティな装備を持つ“S”はお馴染みですが、これまでのディアベルにはなく今回が初登場です。次回は『ディアベル1260S』の詳細を見てみようと思います。