REPORT◉吉田拓生(YOSHIDA Takuo)
PHOTO◉神村 聖(KAMIMURA Satoshi)
※本記事は『GENROQ』2019年6月号の記事を再編集・再構成したものです。
プジョーのDセグモデル、508がフルモデルチェンジされ、本邦デビューを果たした。2011年登場の初代は普通の4ドアセダンだったが、PSAグループの中核プラットフォームであるEMP2を採用した新型508はハッチバックタイプのリヤボディとサッシュレスのサイドウインドウを組み合わせ、スペシャリティ感溢れる伸びやかなスタイリングで纏められている。
だが大きくアップグレードを果たしたのはインテリアの方だ。ダッシュ周りの見た目は光沢のある黒いパネルが効果的に使われプレミアム感が増しているし、小径のステアリングの上にディスプレイが見えるプジョー独自の「ヘッドアップディスプレイ」も好き嫌いこそあれスペシャリティ感が強い。
前席は前輪駆動らしからぬ立派なセンターコンソールによって分断されているが、リヤシートはヘッドクリアランスこそ低いが十分な広さが確保されている。素材的にはそこまで高級なものを使用しているわけではないが、組み合わせ方はとても上手だと感じられた。
パワーユニットは1.6ℓ直4の180㎰のガソリンターボと2.0ℓ直4の177㎰ディーゼルターボという2種類が導入される。トランスミッションは8速ATで統一され、前輪を駆動している。
最初にドライブしたのはディーゼルの508GTだった。若干ボディが重たく、スポーティなスタイリングと比べると少し鈍いと感じたのだが、言い換えればそれがプジョーのフラッグシップ的、ロングツアラー的な重厚感にも繋がっていた。
一方ガソリンモデルに乗り換えると、これがまるで違う。鼻先が信じられないほど軽く、活発な1.6ℓガソリンモデルはビュンビュンとパワーが溢れ出す。まるで208とか308GTIのようなホットハッチのフィーリングなのである。
車検証の前軸重を見比べてみると、ディーゼルはガソリンより90㎏も重かった。そしておそらく、両車のアクティブサス付きのアシの設定は一緒だと思われる。だからディーゼルでは例えスポーツモードでもまったりしていて、一方ガソリンではコンフォートモードでも十分スポーティという結果に繋がっているのである。
この結果は意図的なものなのだろうか? ひとつのシャシーで個性が異なる2台を造り分けているなら腑に落ちなくはないが、とはいえどちらのセッティングもドンピシャとは感じられなかった。
二者択一ならガソリンがお薦め。ディーゼルは新車価格も若干高いし、きっと前タイヤの減りも早いから、あまり経済的ではないかも。色々な装備や走りの軽快感を考えると、459万円の508GTライン(ガソリンモデル)が魅力的だと思う。
プジョー508 GT BlueHD〈i GTライン〉
■ボディサイズ:全長4750×全幅1860×全高1420㎜ ホイールベース:2800㎜ トレッド:Ⓕ1595 Ⓡ1590㎜
■車両重量:1630〈1510〉㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ〈直列4気筒DOHCターボ〉 ボア×ストローク:85×88〈77×85.8〉㎜ 総排気量:1997〈1598〉㏄ 最高出力:130kW(177㎰)/3750rpm〈133kW(180㎰)/5500rpm〉 最大トルク:400Nm(40.8㎏m)/2000rpm〈250Nm(25.5㎏m)/1650rpm〉
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:FWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ235/45ZR18
■環境性能(JC08モード) 燃料消費率:18.3〈14.7〉㎞/ℓ
■車両本体価格:492〈459〉万円