空冷エンジンのままに規制値ギリギリの7.2psを発揮するハイパフォーマンスエンジンを搭載した3メーカー3車の個性を、平成を終えたいまじっくりと俯瞰してみよう。




■■■登場人物■■■


案内人:ミヤザキ


ビ:ビトッチ教授


つ:TDFつ〜たん


サ:サンタサン




PHOTO:渡辺昌彦

リーサルウェポンの真の実力を問う

──なかなかに暑苦しい、3メーカー、50㏄スポーツスクーター3車の競演ですね。




つ:「暑苦しい」を「熱い」に訂正して!




ビ:いやー、たしかに暑苦しいわな(笑)。みんななんだかイカついし、前のめり具合もかなりのもんだ。




サ:どれもこれも一時代を築いた名スクーターばかり! 高出力な2ストロークエンジンに別れを告げなければいけない状況になってしまったことが悔しかったのはよく憶えているな〜。だからこそなのかもしれないけれど、いま見てもやるせないノスタルジーを感じてしまいます……。




──たしかにこういう“走り系”スクーターのノリって2019年現在、ごく一部のスクーターにしか残ってないですものね。




つ:まずスーパージョグZだけど、ベースは3YJだね。




──……3YJって?




つ:7㎰系のジョグのこと。車名にスポーツとかZとかが付くと、ディスクブレーキ装着車になるんです。車名が長くなるほど戦闘力が増すということだから、つまりドラゴンボール方式!




──なるほど。




サ:馬力も6.8から7.0に増強され、最終的に自主規制値マックスの7.2になりました。プライスの15万9000円は、いま考えるとかなりバーゲンプライスだと思います。実際にもその後、どんどん上がっていきましたし。




つ:ホンダはどのバイクでも少しだけ高かったですものね。まあ、そのぶんクオリティも高かったんですが。




──ビトッチさんがなにやら静かですが(笑)。




ビ:みんなスクーターに詳しいね!自分の記憶では、ディオが3車のなかのどれよりもシャシーがシッカリしていたと記憶しているよ。だから走っても安心感が大きかった。サーキットで左右に擦ってもぜんぜんビクともしなかったもん。




サ:ジョグはエンジンが良かったから、どれよりも速かったのは確か。




ビ:駆動系のセッティングが絶妙なんだ。それが最大の武器と言ってもいいんじゃないかな。スピードだけで言ったらジョグの圧勝。




つ:スクーターに関しては、「エンジンのヤマハ」と言っていいと思う。




ビ:トルクカムの形状は、ヤマハとスズキが加速型なのに対してホンダは明らかに燃費型だった。メーカーの基本姿勢の違いだね。加速の伸びの良さはヤマハに分があったし、それはパワーカーブを見ても一目瞭然だった。




──スズキのセピアZZの印象はいかがですか?




サ:それはもう……。




つ:サイドマーカーに尽きるね。




ビ:たしかに!アレはカッコ良かったなあ。




サ:言ってみれば、フェラーリ・テスタロッサ風。




──このダクトはどういう効果があるんでしょうか?




サ:ないッ! ないけれどスタイリッシュでしょ。




ビ:そこは大事だよね~。デザインはいま考えるとは一番凝っていた。




つ:でもセピアをイジろうとすると、曲者が現れる。CDI、これが厄介でイグニッションコイルを内蔵している一体型なんだ。点火系を変えたくても変えられない、つまりチューニングがしづらい。




──最終的にセピアは、2000年にデビューする「ZZ」にスポーツ路線を継承することになるんですね。




つ:そう。エンケイ製の12インチアルミホイールやSHOWA製のフォーク、前後ディスクブレーキを装備させたリーサルウェポン。セピア兄弟の最終兵器。




──リーサルウェポンと最終兵器は同じ意味ですが!(笑)

高められたスポーツイメージ SUZUKI SEPIA ZZ

エッジの効いたフォルムで人気を博した先代セピアをベースに、フロントディスクブレーキやリヤスポイラーなどを装備。

SPECIFICATIONS


▪全長×全幅×全高:1670mm×665mm×1025mm ▪車両重量:69kg(乾燥) ▪エンジン:空冷2スト単気


筒49cc ▪最高出力:7.2ps/7000rpm ▪最大トルク:0.76kgm/6500rpm ▪タイヤサイズ(前・後):80/90-10・90/90-10 ▪新車価格:16万5000円


■中古相場19.9万円 ※店頭価格(モトジータ)

エンジン命のスピードランナー YAMAHA SUPER JOG-Z

スーパーZエンジン搭載のスポーツモデル。ダンパー内蔵のフロントフォークやワイド化された偏平タイヤを装着している。

SPECIFICATIONS


▪全長×全幅×全高:1625mm×640mm×1020mm ▪車両重量:66kg(乾燥) ▪エンジン:空冷2スト単気筒49cc ▪最高出力:7.0ps/7000rpm 最大トルク:0.73kgm/6500rpm ▪タイヤサイズ:90/90-10・90/90-10 ▪新車価格:15万9000円


■中古相場7.9万円 ※店頭価格(パワーズホンダ)

死角なしの全方位マシン! HONDA LIVE DIO ZX

吸排気系をストレートに配置した新設計横型エンジン採用。スチール製ホイールを採用する前期モデル。

SPECIFICATIONS


▪全長×全幅×全高:1675mm×630mm×995mm ▪車両重量:76kg ▪エンジン:空冷2スト単気筒49cc ▪最高出力:7.2ps/6500rpm ▪最大トルク:0.81kgm/6250rpm ▪タイヤサイズ(前・後):90/90-10・90/90-10 ▪新車価格:16万9000円


■中古相場4.32~24.68万円 ※Webike調べ

カチ上げウォーズを制したのは!?

スズキ
ヤマハ


ヤングの心を鷲掴みにしたのが、「ウイング」と呼ばれたハイマウントストップランプ。カチ上がっているのがクールとされ、その点はスズキが圧勝。ヤマハがいちばん大人しかった。

撮影協力

モトジータ


東京都杉並区下高井戸1-9-11


☎03-6379-0819


国道20号線沿いに店舗を構え、深夜3時まで営業。撮影車のセピアZZはなんと新車で、19.9万円で販売中だ。

パワーズホンダ


東京都板橋区泉町4-1


☎03-3965-1178


少し前に流行ったモデルを多く扱う。撮影車のスーパージョグZは、実走行4400kmでカウルの焼けも少ない(7万9000円)。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【今こそ乗りたい平成初期のスクーターを語る】ホンダ・ライブDIO ZX、ヤマハ・スーパーJOG-Z、スズキ・セピアZZ