TEXT/PHOTO●山口尚志(HISASHI Yamaguchi)
新型ジムニー登場を前に、「旧型でもかまわないから、モーターファンjp上でアンタが買った旧型シエラの話をやれ」といわれたのが昨年2018年6月4日のことだった。
タイトルをものの3分で「よろしく! スズキ・ジムニーシエラ」に決め、スタート第1回目を載せたのが6月11日だったからもうすぐ1年経つ。
前回、ワイパースイッチを固定間欠から時間調整タイプに交換した話をした。
世の中がジムニー熱に浮かれているからといって、そしてジムニーネタ(しかも旧型なのに)だからといって、いくらなんでももう飽きられる頃だろうと思っていたのに、その第11回めこそが公開24時間で、「よろしくシエラ」過去最多のアクセス数(私は視聴率と呼んでいる)を示し、しばらくの間は本サイト内で1位の座に着いていた(まあ、ひとまず新しく挙げればみんな読むから、1位になる確率が高いのが通例なのだが)。
ましてや地味なワイパースイッチの話である。
前回書いたように、「誰が興味持つんだ、こんなもん」と思っていたのに、驚くやら照れくさいやら。
この「よろしくシエラ」をみなさんが読んでくださるおかげでモーターファンjp全体のアクセス数を引っ張り上げているという事実。
これもひとえに私のおかげである。
モーターファンjpのほかのライター諸君も、がんばってくれたまえ・・・といいたいところだが、どっこい、本当はジムニーのおかげなのである。
錯覚してはいけない。
本当の勝負どきは、こんな↓
「こんにちは! プレミオ」
「会社が大変だね! シルフィ」
「身の丈サイズの普段着セダン! グレイス」
「タイからようこそ! ミラージュ」
「インドの検査はちゃんとしてる? バレーノ」
といった、あまり注目されないクルマをタイトルに掲げたときだ。
これらがこの「よろしくシエラ」と同じくらい読まれたなら、そのときこそ謹んでうぬぼれさせていただく。
でも、同じ調子で語っても誰も読まなさそうだし、だいいち、そんな提案をしたところで却下されそうだ・・・やはり「ジムニー」のおかげなのだ。
自分では試していないが、世間のジムニー熱で繁殖したジムニー予備軍&オーナー(彼らを細菌扱いしているみたいでよくないな、このいいかたは)が「ジムニー」で検索、新旧入り交って出てきた挙句、PVが上がっているのだろう。
そうでなければ新型が売られているときに旧型の話が読まれていることの説明がつかない。
新型の話だと思って開いたら旧型の話だった・・・「ジムニー」の検索結果にこの「よろしく・・・」も混じることでやってきた人もいると思うと、なんだかブレンド米を売ってしまったような、申し訳ない気分にもなってくる。
それにしても、こんな記事でも読んでくださっているみなさんに感謝すると同時に、スズキにも感謝しなきゃいけない。
ほんと、スズキに足を向けて寝られない。
今日帰ったらふとんの向きを静岡じゃない方角に変えておかなきゃ。
ところで私のすぐ近くの席に、5歳上の福永さんという方がいらっしゃる。
↓このモーターファンjpのほかのところで、こんなのを書いている人ね。
第11回を載せた翌日、
「やまちゃん、思いがけず1位じゃん。」
といってきた。
「思いがけず」という副詞つきである。
しっけいな。
なんだか私のことをバカにしているような気がする。
「やまちゃんさあ、おれと違って長い文章書くの好きだろ? ワイパーごときで調子に乗って次もワイパーのこと書けばいいじゃん。それでまた1位になったらワイパーに感謝しなきゃ」
やはり絶対にバカにしている。
なるほど、写真を大きくし、少なめの文章で成立させる主義の彼からしたら長文好きに見えるかもしれないが、私だって別に好きで長い文章を書いているのではなく、紙と違ってサイト記事は無制限なのが災いし、勢いで長くなっているだけのことなのだ。
格別長い文を書くのが得意なわけではない。
小学校の時分、書いた作文に何度「もうすこしがんばりましょう」のハンを押されたことか。
というわけで、福永さんの要望どおり、前回に続けて今回もワイパーの話をしていくことにする。
もともと彼にいわれるでもなく、ワイパースイッチ交換に続けてワイパーゴム交換の話をするつもりではいたのである。
すでに写真も撮ってあったのだがあまりにも地味なテーマだし、ワイパーがらみを続けざまにしても話が持たないだろうと思い、スイッチ交換でおしまいにし、リコール騒動について書くつもりでいたのだ。
没フォルダーから引っ張り出して陽の目を当てよう。
3月29日が1年点検の日だったことは前回書いた。
その前にきちんと洗車をしておこうという、私にしてはめずらしく殊勝な心がけでクルマの前に立ったとき、ワイパーゴムのちぎれを発見した。
一般に、ワイパーゴム(リフィル)の交換は1年ごとがめやすとされている。
見るたびに思うのだが、ワイパーの立場になってみると、このワイパーゴムさんの労働環境はなかなか過酷だ。
断面形状で見たときの刃先に相当する部分がガラス上の雨をぬぐう。
ここが2か所の反転のたびに向きを変え、ガラスを円弧状に往復するわけだが、これがワイパーアームのばねに押しつけられながらの変形だからたまらない。
では晴れの日、ガラス下端部で停止状態にあるワイパーが楽をしているかというとそうでもなく、常に「雨よいつでもかかってこい」でいるだけに相変わらずばねの力を受けており、気の休まるときはないわけだ。
ガラスとばねにはさまれているわ、晴れの日なら太陽からの熱や紫外線、さらには暑さ寒さにさらされるわで、まちがってもワイパーには生まれ変わりたくないものである。
「いやあ、普通は1年が寿命というが、実のところは半年がいいとこだよ。」
などと知ったことをひとにいっていた頃が懐かしいが、1年未満での交換を続けているうち、安い交換パーツを選んでも、フロント左右やリヤ用の計3本となると存外に安くならないこともあって、考え方を変えることにした。
ただの使いっぱなしではない、折を見て手入れをしながらの使い方ならどれほど持つものなのか。
ブルーバードの頃あたりから実践し始めたが、手入れをしさえすれば、1年どころか3年でも4年でも支障なく使えることがわかった。
ではその手入れ法とは何か。
その方法、長々と書いた割には大したことではない。
適当な頻度で、ぬれたティッシュでワイパーゴムの刃先を挟むようにしてぬぐってやるのだ。
ただそれだけである。
私の場合は、おおよそガソリン給油3~4回に1回の頻度で、または洗車のたび、ぬれたティッシュでサッサ、サッサと拭っていた。
作者が亡くなったから引き合いに出すわけではないが、そう、「ルパン三世」に出てくる石川五右衛門の斬鉄剣の手入れのように、刃先を布で拭ってやるのである。
これを行うとどうなるか。
斬鉄剣なら刀の輝きが増して切れ味がよくなり、ますます「つまらぬものを切ってしま」うことができるようになる。
ワイパーの場合はティッシュが汚れの付着で真っ黒になり、ガラスは水切れがよくなって線も残らなくなる。
この真っ黒が空気中の排気ガスの成分なのか、ゴム内部からにじみ出たカーボンなのか、勉強不足でよくわからないのだが、この黒いのがほぼつかなくなるまで繰り返し拭うとワイパー性能が復活するので、みなさんも試してみるといい。
だいたい、拭っても線が残るというのは、ゴムとガラスの間にごみが挟まっているからであり、これを取り除けば線がなくなるというあたり前の道理である。
これをほったらかしにしてごみが溜まっているのに、なお構わずワイパーを動かしているから、そのうち刃先がけずれ(たぶん)、1年ほどで寿命を迎えるのだとにらんでいる。
ただし、これには前提があって、ガラス表面への撥水処理が必須だ。
水ぬぐいをワイパーだけに一任せず、ガラス側も水が離れやすいようにしておくことで、ワイパーの負担をいくらかでも軽くするのだ。
もっとも、撥水処理をしないでこの方法を試したわけでもないから、撥水処理の有無が関連しているかどうかはわからないが、もうすぐ梅雨の声が聞こえるようになることも見据え、できるだけの手当てはしておきたいものだ。
その撥水処理剤、私は別にメーカーのまわし者ではないが、いつも錦之堂のスーパーレインXを使っている。
それも、その中でも作業にちょいと手間のかかる、値段の高めのもの。
洗車後にガラスの水分を拭き取り、こいつをガラスに塗り塗りするのである。
私も初期の頃は、別メーカーのウェットティッシュタイプやスプレータイプ、さらにはウォッシャー液タイプなども試していたが、経験的に、値段が安くて処理作業が簡単な製品は、効果もその持続期間もそれなりでしかなく、やや値段が張り、施工作業が面倒なものほど効果が大きく、水はじき性も長続きするといえそうだ。
値が張るといっても700~800円ぐらいのものだし、その効果は、作業が面倒であることのトレードオフを補って余りある。
また、ウォッシャー液タイプのものはおすすめしない。
これは撥水処理剤とウォッシャー液をいっしょくたにしたもので、手で塗る作業をウォッシャー噴出時の連動ワイパーに任せるというものだが、効果云々もさることながら、ウォッシャーノズルから吹き出した液の一部がボンネットなり、はたまたフロントガラスを飛び越してルーフにまで付着したが最後、塗装面にシミとして残ってしまう。
どちらかというと、使いっぱなしならせいぜい寿命が1年のところ、この手法でその寿命が3~4年、場合によっては5~6年に延び、劣化のスピードがゆるやかになるだけと思っていただきたい。
この方法でもやがては水切れが悪くなり、線も生じるようにはなるのだ。
また、ワイパーの使用頻度、クルマの使用シチュエーションによって大きく違ってくることはいうまでもない。
現物を見て考えられる原因はただひとつ。
このクルマの新車時装着のゴムは、他車や市販交換品に比べ、安くするために刃先が薄くてやわらかい造りにしてあるのではないか?
ということだ。
当初、いまどきの他車に比べてジムニーのフロントガラスが立っていて、ゴムへ負担が大きいからと考えたのだが、よくよく見たらジムニーも、ティーダや他の車も、ガラスに対するワイパーのピボット(回転軸)はガラス面に対しておおかた鉛直のようなので、ガラスの後傾角はあまり関係ないともいえそうだ。
さて、能書き、御託並べはここまでにして、ワイパーゴム交換とガラス処理の要領をお見せしよう。
ちぎれを発見するや、あわててカー用品店に行ってフロント用、リヤ用の計3本を調達、うちの車庫で交換作業。
ここで再度、前回の動画を載せておく。
このとき、ホース先のノズルを雨状にして水を放出したわけだが、水がガラス面をコロコロコロコロと、玉のようになって落ちていくのがおわかりになると思う。
終わり!
(おまけ)
1年点検前の今回ばかりは、フェンダーにあるアンダーミラー根元のシミやスペアタイヤ裏まで徹底的に洗車してやろうと、スペアタイヤをはずし、アンダーミラーをはずして洗ったのだが、アンダーミラー取付部にはこんなスペーサ―がついていた。