日本では、おそらくファストバック8割、セダン2割といった販売比率になるのではないだろうか。欧州ではファストバックが主流、中国と北米ではセダン比率はもう少し上がるだろう。
ファストバックで言えば、VWゴルフ、トヨタ・カローラスポーツ、フォード・フォーカス、ルノー・メガーヌ、プジョー308などがライバルになる。国内でも、マツダ3とスバル・インプレッサ、ホンダ・シビック、トヨタ・カローラスポーツ、VWゴルフ、アウディA3、メルセデス・ベンツAクラスなどが競合することになる。
では、マツダ3の最大のライバルは何になるか?
じつは、年内に発売が予告されているマツダCX-30と比べる人が多いのではないだろうか?
新世代商品群の第2弾にして、いまもっとも人気の高いコンパクトSUV(クロスオーバー・ビークルと言った方がしっくりくる)としてデビューするCX-30は、サイズといいデザインといい、より人気の出そうなモデルである。
まずは、サイズから考えてみよう
エンジンラインアップ
SKYACTIV-G1.5(MT/AT)
SKYACTIV-G2.0(AT)
SKYACTIV-D1.8(AT)
SKYACTIV-X+M-Hybrid(MT/AT)
エンジンラインアップ
SKYACTIV-G2.0+M-Hybrid?(AT)
SKYACTIV-D1.8(AT)
SKYACTIV-X(MT/AT)
となる。CX-30の方が全長が短いのだ。いまや、SUVのパッケージが「スタンダード」で、ハッチバックやセダンが「背がちょっと低くて不便なパッケージ」と考える人もいる。マツダ3(ハッチバック)からCX-30(SUV)への変身を、「より走破性が高く、大人数でアウトドアへ出かけるクルマ」への変身と思う人はいない。よりコンパクトでよりパーソナルなCX-30は、ひと昔前だったら2ドアクーペ、少し前なら4ドアクーペを好むような感覚の持ち主に選ばれるモデルになりそうだ。
その意味でも、「CX-30の登場を待ってどちらを買うか決めよう。SKYACITV-Xエンジンの試乗もできるだろうし、評判もわかるし」と考える人が出てきそうな予感する。
その際、ポイントになるのは、CX-30の価格だ。通常、ベースとなるハッチバックよりもSUVモデルの方が価格が高い。
マツダで言えば、同じ1.5ℓディーゼルエンジン搭載モデルの価格は
デミオ 1.5ℓディーゼルXD LパッケージFF 6AT:207万3600円
CX-3 1.5ℓディーゼルXD LパッケージブFF 6AT:280万8000円
だった。CXシリーズの方がずいぶんと高価だ。
現行のCX-3のエントリーモデルは、1.8 ℓディーゼルのSKYACTIV-D1.8を搭載するXD FF 6ATの243万6480円。同じSKYACITIV-D1.8を積むもっとも廉価なマツダ3は、XD PROACTIVEのFF 6ATで274万円だ。
他のブランドも見てみよう。
スバル・インプレッサ2.0i-Sアイサイト4WD:261万3600円
スバルXV 2.0I-Sアイサイト4WD:270万円
アウディA3 スポーツバック30TFSI FF:296万円
アウディQ3 1.4TFSI FF:369万円
フォルクスワーゲンでいえば、
全長×全幅×全高:4265mm×1800mm×1480mm
ホイールベース:2635mm
1.4ℓ直4DOHC直噴ターボ
140ps(103kW)/4500-6000rpm
250Nm/1500-3500rpm
全長×全幅×全高:4500mm×1840mm×1675mm
ホイールベース:2675mm
1.4ℓ直4DOHC直噴ターボ
150ps(110kW)/5000-6000rpm
250Nm/1500-3500rpm
こちらも、SUVの方が10%程度高価だ。
となると、CX-30の価格はどうなるか?
CX-3、CX-5より、パーソナル志向が強いCX-30だけに、マツダ3よりだいぶ価格は上がるのでは、と予想する。
その前に、ベースとなるハッチバックモデルとSUVモデルの価格帯を見てみよう。
VWゴルフが253万9000円~331万9000円
VWティグアンが369万9000円~529万円
アウディA3が296万円~433万円
アウディQ3が369万円~469万円
メルセデス・ベンツAクラスが328万円~489万円
メルセデス・ベンツGLAが414万円~533万円
マツダ3が218万1000円~362万1400円
マツダCX-30:?
もっとも高価なモデルは、大排気量のエンジンを積んだ特別なモデルから見なくてもいい。もっとも廉価なエントリーグレードの価格に注目してほしい。CX-30は輸入ブランドのライバルのエントリー価格と競合するところに、SKYACTIV-D1.8やSKYACTIV-Xエンジン搭載モデルの価格を合わせてくるのではないか、と予想する。
勝手な予想をすると
SKYACTIV-G2.0(+M-Hybrid?)で290万円から320万円
SKYACTIV-D 1.8搭載モデルで320万円〜365万円
SKYACTIV-X(+M-Hybrid)で375〜430万円
現在のCX-5が257万円〜388万2200円だから、それよりも少し上の価格帯になると予想する。CX-一桁ではなく、CX-二桁のモデル名を授かったのは、CX-3/5/8という従来のピラミッド構造に組み込まれないモデル、という意味もありそうだ。
また、マツダ3は国内では、SKYACTIV-G2.0はM-Hybridを非搭載(欧州では搭載)だが、CX-30ではもしかしたらM-Hybridとするかもしれない。マツダ3との差別化、CX-30の「スペシャル感」を演出するためだ。
こうして勝手な推測を進めていくと、価格の上ではマツダ3とCX-30は直接のライバルにならないと言える。マツダ3の潜在顧客層が気になるのは、マツダCX-30か、それとも登場が待たれるVWゴルフ8(次期モデル)か。いずれにせよ、マツダ3は、そしてマツダCX-30は、Cセグ界に嵐を巻き起こすかもしれない。