TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
古河電工のグループ会社である古河ASは、2016年11月より、次世代自動車に求められる先進運転支援システム(ADAS;Advanced Driver Assistance System)で必須となる「周辺監視レーダ」の開発に日本で初めて成功して、量産を開始していた。
車載用レーダは、FCM方式が一般的だが、車両や自転車、歩行者などを正確かつ同時に検知するため、同社製品ではパルス方式を採用している。FCM方式では電波を連続的に放射する。そして距離と速度は周波数で、角度は位相差で計測する。距離と速度を同じ物理量で計測することになる。
これに対してパルス式では、電波を断続的に放射する。距離は時間で、速度は周波数で、角度は位相差で計測する。距離と速度を、各々別の物理量で計測できる。そのためパルス式は分離性能が高い。付近に強反射物(トラックや金属シャッター)があっても、低反射物(歩行者)の位置を正確に検知できる。これは何よりのメリット。さらに、バンパーの形状や周囲の部品の影響を受けにくいにで、搭載性に優れている。こうした特徴を持つ本製品は、実際に搭載した際には、雨・雪・夜間などの多様な環境下での正確な認識が可能となる。
また測角方式として、4ビームの位相情報から角度を算出するデジタルビームフォーミングを採用することでデータの安定性も高めている。
そんな同製品だが、初搭載から2年を経て、次世代機が開発されていた。現行品の持つ高い分離性能はそのままに、次世代機では小型化を進めている。従来より優れていた搭載性が、これでさらに向上する。