先般、開催された「モーターファンフェスタ2019」のヨコハマブース(横浜タイヤ)で、ウェットグリップ性能「a」のタイヤ性能を体感できる試乗会が実施された。ウェットグリップ性能「a」とは、ウェット路面時での制動力等のグリップ力などをランク付けした際、日本最高グレード認定モデルに与えられるもの。“雨に強いヨコハマ”の異名をもつ横浜ゴムが開催するウェットグリップ性能「a」のタイヤを体験できる”体感試乗会”に参加したので、その模様をお伝えしたい。




PHOTO:平野 陽(HIRANO Akio)

ウェットグリップ「c」とウェットグリップ性能「a」の違いを体感

セダン・クーペからコンパクト、Kカーまでカバーするサイズバリエーションを持つ「BluEarth-GT AE51」。サイズは、5.5J×14〜8.0J×19の全57サイズを用意。もちろん、すべてのサイズでウェットグリップ性能「a」を獲得。

 言い尽くされた言葉だが、タイヤは路面と唯一接する場所。劣化した、また摩耗したタイヤを装着しての運転は、グリップ性能の低下にともなう危険が待ち受けているといっても過言ではない。ましてや、雨の日となると水膜により滑りやすい状況におかれ、劣化や摩耗していないタイヤでもあっても危険という目に見えないリスクが顔を覗かせてくる。




 横浜タイヤから新しくリリースされた「BluEarth-GT AE51」は、特にウェット時のグリップ性能向上を目的として開発されたモデルで、国内タイヤ等ラベリング制度のウェットグリップ最高グレード「a」を獲得している。高い操縦安定性と低燃費性能を融合したグランドツーリングタイヤが謳い文句だが、実は、“雨の日”にも強いタイヤという秘密兵器も備えているのだ。




「雨の日でもしっかり走れて、さらに”ラク”に運転してもらいたいという趣旨のもと開発しました。”ラク”というのは漫然運転をするためということではなく、ウェット路面という感覚的な部分も含め、悪条件化での運転時の恐怖心や緊張を解き放つためという意味です。ただ、ウェットグリップ性能「a」は”スゴイ”といっても、それをユーザーのみなさんにお伝えすることはなかなか至難の業で……。ですので、百聞は一見に如かずで、その性能を実体験していただきたいと思い、このような体感試乗会を各地で展開しております」(横浜ゴム関係者)。

インストラクターによる同乗試乗で性能差を実感

ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」を装着したプリウスでの体感試乗シーン。

ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」を装着車したプリウスでの体感試乗シーン。

「ウェット路面は滑りやすいといった危険度が高い状況に置かれるということもあり、多くのみなさんは、好天時と比べより注意して運転されていることと思います。ただ、その注意の方法は経験値に頼っている側面があり、なにかしらの科学的根拠に基づく“目安”によるものではないというのが実情です。我々も、実際、数値化や比較値を提示するというのが物理的に難しいところもあり……。そこで、ならば実際に体感してもらって、ウェットグリップ性能『a』とはどんなものなのかを肌で感じ取ってもらえればと思っております」(横浜ゴム関係者)。




 モーターファンフェスタ2019で開催された体感試乗会では、ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」装着車とウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」装着車が用意されていた。参加者は助手席に座りインストラクターが運転することで、その性能比較を体感することができる。




 放水車により路面に大量の水をまきハードなウェット路面状況とした上、急制動時の制動距離の違いと、定常円旋回時のグリップ性能を確認するというメニュー。最初は、ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」装着車で、その後、ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」装着車でその違いを体感する。

【メニューその1】急制動でのはクルマ1台半分制動距離が短い

 “急制動メニュー”は、所定の場所からフル加速し指定の場所でフルブレーキングするというもの。ブレーキペダルを力の限り踏み込み、足先のコントロールなしでABSを効かしながら停車させる。


 


 ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」は、ゴツゴツした感じで制動するといった印象。路面への食いつき感はあるものの、いつグリップを失うのかという不安を感じさせるものだった。




 一方、ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」は、“しななやかにグイッ”と食いつく感じで、ABSが解除された瞬間ではなめらかにグリップを取り戻すような感触だった。ウェット路面上でのテストという感じではなく、ドライ路面上でテストをしているかのようなナチュラルなタイヤの食いつき方をしているという印象を得た。

【メニューその2】定常円旋回ではグリップしているという安心感

“定常円旋回メニュー”では、指定速度(今回は40km/h)で2周まわって、グリップ力を試すというもの。強烈な横Gはないにせよ、それなりの横Gを感じながらタイヤの様子をうかがってみる。




 ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」は、“制動力メニュー”と同じ印象。もちろん滑り出すということはなかったが、無理矢理グリップさせている感があり、ゴツゴツしたタイヤノイズが“不安感”という文字を頭の中に浮かび上がらせる。




 一方、ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」は、ウェット路面とは思えないグリップ力を発揮。大げさにいえば、ドライ路面と同じ感覚。路面にしっかりグリップし、ほどよくサスペンションの伸縮が行われ荷重移動がスムーズに行われているという安心感が得られた。体感試乗会ということもありマージンをとった速度域ではあるとはいえ、適正ともいえる車両の動きをもたらすグリップ性能の高さに、ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」との性能差を大きく感じた。

国内メーカーとしては初となるKカー用サイズも用意

路面温度変化によってグリップ力が左右されるタイヤ。ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51(写真左から2番目」のグリップ力の高さは、ゴム質を柔らかくしてというものではなく、40年以上積み重ねられた独自の「シリカ」配合技術によって実現。摩耗が特に早いといったこともなく、また、ウェットグリップ性能を高めるためにそのほかの性能を犠牲にしているわけでもない。スポーツモデルから低燃費車、Kカーまでカバーしており、いわば、通常のタイヤにウェットグリップ性能を+αしたというイメージだ。

 上記のレポートだと、ウェットグリップ性能「c」の「BluEarth AE-01F」が性能面で劣るのではという印象を受けられる向きも多いことだろう。勘違いをして欲しくないのは、“雨のヨコハマ”らしく、ウェットグリップ性能「c」モデルでもウェット路面でのグリップ性能は高いものがあるということ。




 ただ、比較対象のレベルが高すぎただけ。ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」は、ウェット路面時の運転でも安心感を得られると同時に、「楽しさ」も与えてくれる。「楽しさ」とは、ドライ路面と同じような感覚でクルマの挙動を感じられるといったら大げさか。とはいえ、助手席にいながらもドライビングプレジャーを得られたのは正直な感想。




「雨の日は、なにが起こるかわかりません。ちょっとした路面状況の変化でグリップを失うこともあります。その見えない危険を回避できるタイヤを、我々はご提供していきたいと考えています。“安心して曲がれる”“思った通りに停止できる”。そう思っていただけるタイヤをご提供できれば、雨の日でもストレスなく運転していただけると考えております」(横浜タイヤ関係者)。




 レポーターが体験したことがどこまでお伝えできたのかという不安もあるが、“百聞は一見に如かず”で、まずは体感してみることをオススメしたい。まったくの個人的な乱暴な意見で恐縮だが、“ウンチク”はこの際おいといて、この体感試乗会は、“楽しい”のひと言。また、改めて、タイヤとはないか、ということを改めて教えてくれたような気がした。

写真中央が、ウェットグリップ性能「a」の「BluEarth-GT AE51」。イン側は乗り心地を、アウト側は操縦安定性を重視した新開発の高剛性・非対称パターンを採用している。なお、気になる価格はオープン価格のため具体的な数字を提示できないが、同レベルのモデルと同じ価格帯とのこと。いわば、”通常”のタイヤにウェットグリップ性能という付加が与えられていると考えればいいだろう。

全国各地で体感試乗会を予定

 2018年から行われているこの体感試乗会だが、19年では前年以上に実施回数を増やして行く予定とのこと。直近では、10連休中の中日となる5月1日(水)・2日(木)に新東名高速道路清水パーキングエリア・イベントスペースで開催予定。参加無料。なお、体感試乗会の開催情報は、Facebook、もしくは横浜ゴムホームページで告知されているので、ぜひ、チェックしてみてはいかがだろうか。




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情報提供元: MotorFan
記事名:「 【MFフェスタ ブースレポート】ウェットグリップ性能「a」認定のYOKOHAMA「BluEarth-GT AE51」を放水車が水をまき散らした路面で試してみた