日本精工(NSK)は、電動車の変速機に使用される円すいころ軸受「NSK LCube Ⅱ」を開発した。

 本製品は、転動体への特殊加工により、潤滑が希薄な過酷環境下での耐久性向上、耐焼き付き性向上を実現。これにより、電動車の燃費・電費向上に貢献する。NSKは、本製品の売上として2030年に年間40億円を目指す。




 近年、燃費規制の強化や化石燃料の枯渇を背景に、グローバルで自動車の燃費向上が求められており、電動車の開発が急速に進んでいる。変速機領域では、電動車の燃費・電費向上を目的とし、潤滑油の低粘度化や少油量化が進んでいる。結果、変速機に使用される円すいころ軸受への要求が過酷になってきており、潤滑油膜切れによる軸受の表面損傷や焼き付きの防止が必要となっている。車両メーカ各社の電動車開発が更に加速することが予測される中、変速機の効率向上の達成には、このような課題の解決につながる信頼性の高い軸受の開発が不可欠だ。




 本開発品は、電動車用変速機の効率向上と信頼性の向上に貢献する。

開発品の特長

(1) 耐久性と耐焼き付き性の向上


円すいころの転動面及び頭部に、円すいころ軸受に適した油溜まりとなる微細な凹部を形成し、接触面の潤滑油膜の保持性を向上させることで、表面損傷を防ぎ、従来品に比べて8倍以上の耐久性と同等以上の耐焼き付き性を実現した。


(2) 低速域での低フリクション化の実現


今回の新製品において、低速域での油溜まり効果(油膜が形成されやすい状態)により、従来品に比べて10%の低フリクションを実現した。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 日本精工:電動車変速機向け円すいころ軸受「NSK LCube Ⅱ」を開発