THS:初代プリウスに搭載
THS-II:二代目、三代目、四代目プリウスに搭載
いずれにも共通するのは遊星歯車を用いる動力分割機構を備え、発電用モーターと駆動用モーターのふたつの電動機を制御する変速ユニット(誤解を与えやすい表現だが)であること。プリウスの世代を経るごとに改良が施されていて、初代プリウスでは1.5ℓとの組み合わせを二代目からは1.8ℓに、三代目では駆動用モーターを減速機を介することで小型軽量化、四代目は軸方向に並んでいたふたつの電動機を複数軸配置の上下配置とすることでユニットの幅方向の劇的な寸法削減に成功している。
遊星歯車機構がエンジンと発電機を自在に操る
THSのTHSたるゆえんが、遊星歯車を用いる動力分割機構である。エンジンからのトルク入力をプラネタリーギヤキャリアに、発電機(MG1)軸はサンギヤに、リングギヤは出力という機械構成とし、その遊星歯車機構自体にはクラッチ/ブレーキを備えずにその都度、エンジン出力が発電と駆動に適宜振り分けられるというのが最大の特長である。
「その都度」「適宜」とはどういうことかを、走行シーンごとに追ってみよう。図中の★が力点、×は固定されている状態の支点、●は作用点というイメージで捉えていただければ幸いだ。なお、図はすべてプリウスPHVのもの。よって、ワンウェイクラッチが備わっている仕様である。
グラフをご覧になっていてお気付きの方もいらっしゃるかもしれない。中列の「プラネタリーキャリア(エンジン)」の回転数(負)というのはあり得ない、不可能な状態である。エンジンを逆転させることはできないからだ。
プリウスPHVの「デュアルモータードライブ」というモードでは、駆動用モーターであるMG2に加えて、本来発電機であるMG1も駆動用モーターとして使い、最大出力とする。そのためにワンウェイクラッチを備えているというのはよく知られているとおり。