MotorFan.jp読者にはおなじみ、防災機器メーカーのモリタ宮田工業と、住宅設備機器販売のMITTO CERA(ニットー セラ)が、高密度の泡を発生させ、新たな入浴体験ができる新発想の泡シャワー『KINUAMI(絹浴み)』を共同開発し、3月27日よりMakuake(マクアケ)にてクラウドファンディングを開始した。


クルマとはまったく関係なさそうに思える、このKINUAMI。そこには消防車の技術が生きていた!




異業種コラボ製品、KINUAMI、コレ、欲しい!!!

天然シルクの温かい泡で全身を泡パックし、美しいボディへ

女性としては非常に惹かれる文言のリリースをいただいたが、なにせ当方 “ クルマ ” 関連のサイト。気にはなるものの、今回の取材はご遠慮させていただこうと思っていた。


だが関係会社を見ると、消防機器メーカー、モリタ宮田工業の社名が載っている。「人と地球のいのちを守る」のスローガンのもと消防車のトップシェアを誇るモリタのグループ会社だ。これは、一体どういうことなのだろうか。謎を解明するためにも、やはり取材に行かねばならないと、いそいそと発表会場であるLIXIL東京ショールーム(新宿)へ向かった。




ほぼ個人的興味で恐縮、と思いつつ伺ったが、その製品は、消防車の技術がふんだんに盛り込まれた、素晴らしいものだった。

新しい取り組みクラウドファンディング

設置イメージがこちら

まずは、概要を説明しよう。クラウドファンディング価格は本体・専用シャワー・専用コンプレッサーそして約1ヵ月ぶんの専用カラダトリートメント剤のセットで4万3000円(税込)。期間は2019年7月24日まで。100台限定の430万円が目標で、達成できなければキャンセルとなるオール オア ナッシング方式(目標達成型)を採っている。晴れて達成となると、2020年1月目処で商品発送になるという。


今回のクラウドファンディングは、モリタ宮田工業にとっては新しい試みで、クラウドファンディングサイトのMakuake社が加わり、モリタ宮田工業、NITTO CERAと三社合同での開発・取り組みとなった。

KINUAMI(絹浴み)とは……

一見、なんの関連もなさそうな2枚の写真だが……

自動生成された高密度の温かい泡がシャワーから放射される、このKINUAMI。


高密度の泡、と聞いてピンときたかたは、なかなかな消防車通ですね。そうです。このシャワーヘッドは、モリタグループが開発する消防車の泡生成技術を応用して作られているのです。


とはいえ、消防車のホースと家庭用シャワーヘッドはまったくの別物。そこで、バスルームの知見を持つNITTO CERAとの異業種コラボレーションが実現したのです。




このKINUAMIは本体(専用シャワー含む)そして外付コンプレッサーからなる製品で、その泡の生成には専用のトリートメント剤を使用する。トリートメント剤については、また後ほど触れさせていただくとして、まず機器について見ていこう。




本体裏面がマグネット面となっており、壁にくっつけるれば、すぐに使用ができるのも魅力だ。多くのユニットバスは、壁面内側に鋼板が埋め込まれており、マグネットでの取り付け方法は適しているという。特別な工事を要さず、業者にお願いしなくても設置ができるというのはうれしいところ。


本体(専用シャワー含む)をバスルーム内、コンプレッサーをバスルーム外に(必ず水のかからないバスルーム外に設置)設置し、電源プラグを差し込めば使用できる(コンプレッサーと本体はエアチューブで繋ぐ)。「通常シャワー」と「泡生成モード」の切り替えは、本体のつまみを回すだけ。簡単な操作ですぐにKINUAMIの泡が放射される。

【KINUAMI 製品サイズ】


本体:180×120×215mm(幅×奥行×高さ)/重量:約2.2kg


専用コンプレッサー:260×145×235mm、/重量:約5.4kg

KINUAMI・クラウドファンディングサイトはこちら

発泡倍率11倍の理想的な泡

左が手で泡立てた泡、右がKINUAWAの泡。その違いは歴然。

泡は、水とトリートメント剤を一定の比率で混合した水溶液に空気を含ませて生成するが、その倍率は泡に含まれる空気の分量となる。今回のKINUAMIは11倍。では、手で泡立てた場合はどうかというと、空気含有倍率としては驚くほどの違いはないという。なぜか。手で泡立てたときをイメージしてほしい。大小バラつきのある泡が想像できると思う。発泡倍率という意味では、手で泡立てた大小バラつきのある泡を大量に作れば、KINUAMIのそれとさほどの変わりはない。では、なにが違うのか。


それは、定着率。


KINUAMIの泡は、発泡倍率を高めてさらにそれを細分化した “ 超高密度 ” の泡なのだ。高密度なため、肌への密着(定着)度が非常に高く、それにより高い保温性を実現している。ふわっとしつつも肌に吸いつくこの泡は、手では絶対に作れない。




この泡生成技術とシャワーヘッドが、とにかく開発のキモである。


消火ホースが、ある程度の口径から放射できるのに対し、シャワーヘッドは無数の極小口径からの放射となる。シャワーヘッドの穴から直線上に適度な泡を放射する開発は困難を極めたという。また、外づけのコンプレッサーにて空気を圧縮して本体内で泡を生成するが、その生成技術にも同社の知見は生かされているという。発泡倍率は11倍。倍率も重要だが、泡の均一性や密度のコントロールも難しかったと開発担当の北里憲さんは言う。


本体とシャワーヘッド、そして理想的な泡を生成するために、製品化には3年を要したという。

とりあえず、ご覧いただきたい。

「泡で消火」の技術を災害以外に活用という異分野への挑戦

発表会冒頭、モリタ宮田工業・田中幸男社長は「泡で消火するという技術を、災害以外になにか活用することができないか」という考えが社内にあり、かつ「さまざまなアイデアを持っている」と述べた。そして「(専門分野として)歴史ある会社にとって、異分野に一歩を踏み出すのは難しい」とも加えた。その一歩を強力に後推ししたのが、今回共同開発として名を連ねる、NITTO CERA社だ。LIXILの子会社・NITTO CERAは、住宅設備機器などの製造販売をする会社であり、モリタ宮田工業とはまったくの業種違いだ。




その出会いは数年前に両社がHCR(国際福祉機器展)へ出展したことがきっかけだ。モリタ宮田工業は、福祉の観点から今回の泡シャワーのプロトタイプ的製品を参考展示していたが、それを見たNITTO CERA・浅野靖司社長が「製品に興味を持ち、すぐにこちらからこ連絡差し上げました」(質疑応答での浅野社長の回答)ことでこの異業種コラボレーションとなったという。


その住宅設備機器を扱う会社と消防機器を扱う会社、まったく関係のない会社同士の技術や知見を融合させることで、このように新しく大きなプロジェクトへ発展した。

今回のクラウドファンディングが成功した、その後には……

この取り組みは、100台と小規模なものとなっているが、それはまず、需要があるかどうかをみる “ テストマーケティング ” の意味合いを多く含んでいるからだという。


ここから一般商品への展開があるのかどうかは不明だが、この製品をさらに突き詰めていき、小型化されたり、つまみを回す段階を増やしてフェイス用・ボディウォッシュ用と用途が増えたり、クルマのサイト目線で言わせていただけたら、カーウォッシュ&ワックス用! と、さまざまなジャンルで展開されたらうれしいな、と製品を実感させていただき、個人的希望が膨らんだ。




ぜひ、今回のクラウドファンディングが成功し、この先の未来にさらに驚く製品を開発していただきたいと願うとともに、その折には、今回はあまり語ることのできなかった、消防車技術応用のテクノロジーをとっくりとお聞かせいただきたいと思う。




そして、原稿掲載の4月1日現在、すでに50人に届きそうな支援者が集まっている。期限は7月24日までとなっているが、この週末にも達成しそうな勢いなので、気になったかたは、すぐにチェックしてみてほしい。


私も、この記事を書き終えたら、サイトへ参ります。

この3パックで約1ヵ月分となる(1回30秒放射で約20ml使用の場合)

「KINUAMIの泡」専用カラダトリートメント剤:純国産天然シルクから抽出した保湿成分 “ フィブロイン ” を贅沢に配合(リバースプロジェクトトレーディングのSILMOREプロデュース)。人間の肌成分に近い18種類のあみの酸からなるタンパク質で構成されるシルクは、保湿性に優れ、潤いを与えることで感想を防ぐ。


支援プランには、200ml × 3パック(約1ヵ月分)がつく。晴れて実施となった場合は、その後トリートメント剤のみでの購入が可能となるという(3パックセット:予定価格4,860円・税込)。

KINUAMI・クラウドファンディングサイトはこちら

モリタ宮田工業HPはこちらNITTO CERA HPはこちら
情報提供元: MotorFan
記事名:「 こんなところに、消防技術! 消防車の消火泡生成技術を応用。天然シルクの泡シャワー・KINUAMI(絹浴み)クラウドファンディング開始! モリタ宮田工業 × NITTO CERA × Makuake