メルセデス・ベンツブランドにおいて最もプレステージ性の高いモデルとして君臨する「メルセデス・ベンツS 600ロング」。
両車のボディサイズ、後席の居住性、最小回転半径、エンジン性能を比較してみよう。
3月5日より開催されたジュネーブモーターショーで、6.0ℓ V12エンジンを搭載する「メルセデスAMG S 65」の「ファイナルエディション」が、全世界130台限定モデルとして発表された。
これはつまり、「メルセデスAMG S 65」のみならず、同じ6.0ℓ V12エンジンを搭載する「メルセデス・マイバッハS 650」と、スペックは異なるものの6.0ℓ V12という点では共通の「メルセデス・ベンツS 600ロング」も、早晩生産終了する可能性が高いことを意味している。これらを新車で購入するのを以前より検討していたエグゼクティブに、迷っている時間はほとんど残されていないと言っていいだろう。
この3台の中から、ショーファードリブンカーとしての性格が強い「メルセデス・マイバッハS 650」と「メルセデス・ベンツS 600ロング」を、日本仕様同士で比べてみた。
「メルセデス・マイバッハS 650」は、標準ボディのSクラスより130mmホイールベースが長いロングボディの「メルセデス・ベンツS 600ロング」よりもさらに200mmも延長されており、総計330mmもの延長分はすべて後席の快適性向上に充てられている。
「メルセデス・ベンツS 600ロング」でも充分過ぎるほど後席は広いのだが、「メルセデス・マイバッハS 650」はヘッドルームが12mm、ニールームに至っては159mmも広く、もはや前席にいるドライバーが遥か遠くに感じられるほどだ。
なお両車とも、43.5度までリクライニング可能なバックレストに加えレッグレストとフットレストを装着する「エグゼクティブシート」を標準装備。さらに、左右独立シートや格納式テーブルなどで後席をより安楽にする4人乗り仕様の「ファーストクラスパッケージ」をオプション設定している。
全長は5m、ホイールベースは3mを優に超える巨体ながら前輪の切れ角が大きいため、小回り性能は極めて優秀。車体四隅や前後輪の位置も把握しやすく、狭い駐車場でも入出庫は意外と容易だ。だがその分、ステアリングを目一杯切って曲がった時の内輪差も大きいため、リヤドア~後輪を障害物などにヒットしないよう気を付けたい。
「メルセデス・マイバッハS 650」のM279型、「メルセデス・ベンツS 600ロング」のM277型とも、ポート噴射・ツインプラグのSOHC3バルブV12ツインターボ、ボア×ストローク=82.6×93.0mmという基本構成は共通で、両エンジンの違いはチューニングによるもの。だが最高出力は100ps、最大トルクは170Nmもの開きがある。