と言っても、平成のスタートから最後まで、同じ名前で継続しているモデルは意外と少ない。トヨタからはクラウンをピックアップしてみた。
4速フロアシフトの最上級グレード。3.0ℓ直6(7M-GE型)を搭載したモデルが443万2000円。
では、2019年のクラウンの価格はどうか?
3.6ℓV6エンジン+モーターのハイブリッド搭載のクラウンハイブリッドの上級モデルは、なんと700万円オーバーだ。
443万2000円→718万7400円で162%だ。
次は、日産の代表選手、スカイラインだ。
セラミックターボを採用した走りのスカイライン。7代目スカイライン(R31)でエンジンはRB20型2.0ℓ直6DOHCターボ。スカイラインは、「走り」を標榜していただけに、2ドアクーペ版が設定されていた。
では、2019年のスカイラインは
スカイラインは、北米市場がメインとなっていて(北米ではインフィニティ・ブランド)、日本仕様では2ドアはなし。取り上げたのは、2.0ℓターボ搭載のスポーツグレード。この上に3.5ℓV6+モーターのハイブリッドあり(555万9840円)がある。
283万2000円→471万3120円で166%
次は、ホンダが世界に誇るシビックだ。
シビックは、4代目通称グランドシビックだ。そのスポーティモデルが搭載していたエンジンは、1.6ℓ直4DOHC、名機と言われたZC型である。
では、2019年のシビックは
久しぶりに日本市場に登場したシビック、5ドアハッチバックは273万240円である。
167万5000円→273万240円で163%
となっている。
クラウン 162%
スカイライン 166%
シビック 163%
3台を見てみると、おおよそ162〜166%だ。
さて、では、この30年間で我々の給料はどう変わったのだろうか? 大学卒の初任給のデータを見てみよう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査から取り出したデータだ。
1989年:16万900円
2018年:20万6100円
でこの間の賃金の伸びは89年比で128%となっている。
自動車にかかる税金は様変わりしているから、単純に比較するわけにはいかないが、自動車雑誌(やウェブサイト)を見ながら、「あ〜このクルマは、いくらするんだろう?」という思いは、給料の金額に直結しているということで、話を続けよう。
給料は128%
クルマは160%超
ということで、クルマは「高く」なっているのだ。大きく豪華で安全で格段に性能が上がっているのだから、当然と思わないではないが……。
1989年当時、輸入車はいまよりもはるかに雲の上の存在だった。バルブ景気まっただなかだったから、その当時40〜50代だった方たちは別だったのかもしれないが……。
さて、まずはフォルクスワーゲンから。
354万円→393万9000円で111%
次は、モデルチェンジを受けたばかりのBMW3シリーズ。1989年当時のBMWは、E30型。「六本木のカローラ」と呼ばれていた時代だ。
398万円→523万円で131%
1989年当時もいまも憧れのスポーツカー、ポルシェ911。当時のポルシェは、930型の最終形だ。89年に964型に移行している。
モデルチェンジを受けたばかりの911(992型)のベーシックグレードは未導入だが、導入されたモデル、カレラSの8速PDKが1666万円だ。
991型の911カレラ(7速MT)だと1244万円。
ここでは、こちらを基準にしてみよう。
985万円→1244万円で126%
メルセデス・ベンツはどうだろう?
当時、自動車関係者に衝撃を与えた、コンパクト・ベンツたる190Eは、1982年に発表されている。W201型である。日本での正規輸入は1985年のことだった。
これは最廉価モデルである。同じく2019年のCクラスの最廉価モデルは、
475万円→455万円で96%
となっている。なんと、メルセデス・ベンツのCクラスは、30年前より買いやすくなっているのだ!
最後は、フェラーリ。
1558万円→3223万5000円で207%
こちらは、なんと207%。30年前も手が出なかったが、2019年では、もはや雲の遙か上にいってしまった。