REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●4ミニ.net http://4-mini.net
1987年(昭和62年)に登場したモンキーRは、バイクブーム&レーサーレプリカブーム真っ只中の時代に生まれた、モンキーのスポーツバージョン。
モンキーRには、出力を一段と向上(3.1から4.5馬力)させた、モンキー用ベースの空冷4サイクル単気筒49ccエンジンを搭載。フレームはコンパクトで高剛性のバックボーン式・ツインチューブフレームを採用。
ホイールはスタンダードの8インチから、10インチにサイズアップ。フロントには油圧式ディスクブレーキや、インナー径φ30のテレスコピックフォークを採用するなど、コンパクトなボディサイズながら、本格的な装備を導入。
これらに加え、軽快なライディングポジションを生むハンドル形状やステップ(アルミ製)位置などとあいまって、より軽快でスポーティーな走行が楽しめる個性派レジャーバイクとしているのがポイントだ。
当時の発売価格は15万9000円。なお、1988年型のスタンダードモンキーは12万2000円だった。
モンキーRは“モンキー”という名称ながら、モンキーとは思えない“R(レーシング)”な装備が導入されている(下記参照)。
・エアープレーンタイプのタンクキャップを採用した大容量(7・0L)燃料タンク。
・スポーティーな極太クロームメッキのマフラーカバー。
・ホイールのスポーク部とハブ部をアルミ製の一体キャストにした、軽量でスポーティーな10インチのコムキャストホイール。
・ワイドで力強いイメージのチューブレスタイヤ(3.50-10)。
・エアロフォルムの可動式リヤフェンダー。
・ライディングスピリッツを駆り立てる低めにセットされたスワローハンドル。
・メッシュ&肉抜き加工された独自のジェネレーターカバー。
・スポーティーなポジションを可能にするバックステップを標準装備。
・スポーツ走行にも対応する本格的なモノショック型スイングアーム。
・NSR50/80用と互換性のある220mmリヤショック。
モンキーRがデビューした時代は、バイクブームとともに、ミニバイクレースが全盛。モンキーRの発売から2ヵ月後の1987年5月、7.2psの2スト水冷エンジン&前後ディスクブレーキを装備した本格派2ストスポーツミニ、「NSR50」が、満を持してデビューした。
ストリートユーザーはもちろん、レースユーザーの目は「ワークスマシン、NSR500の2/3サイズモデル」を謳ったNSR50に集中。ちなみにNSR50は、モンキーRをベースに開発された。
“ミニバイクレース最強”を目指して開発・リリースされたNSR50の影に隠れてしまった兄貴分のモンキーRは、1988年にアップハンドルやリヤキャリア等を装備した「モンキーRT」が追加発売されるものの、人気に火が点くことなくひっそりと姿を消した。
しかし数年後にやってきたモンキーブームとともに、モンキーRの人気は絶版後に急上昇。その希少性から、程度の良い車両は現在でも高値で取引されている。
通称名:モンキーR
型式:A-AB22
全長(mm):1,510
全幅(mm):610
全高(mm):800
軸距(mm):1,055
シート高(mm):650
乾燥重量(kg):67
車両重量(kg):73
燃料消費率(km/L):100.2(30km/h)
エンジン型式:空冷・4サイクル単気筒
総排気量(cm3):49
内径×行程(mm):39.0×41.4
圧縮比:9.8
最高出力(PS/rpm):4.5/8,500
最大トルク(kg-m/rpm):0.42/6,500
キャブレター型式:PB92
始動方式:キック式
点火方式:CDIマグネット点火
燃料タンク容量(L):7.0
潤滑油容量(L):0.8
変速機型式:常時噛合式
変速比:
1速 3.272
2速 1.937
3速 1.350
4速 1.090
キャスター(度)/トレール(mm):25°00′/64
タイヤサイズ:
前3.50-10-2PR
後3.50-10-4PR
サスペンション 前/後:テレスコピック/スイングアーム
ブレーキ型式 前/後:油圧ディスク/機械式リーディングトレーリング
発売価格(当時):15万9000円