BMWにとって日本市場は、主要な6大市場の位置づけだという。6大市場とは、ドイツ、米国、中国、イギリス、イタリア、そして日本だ。
7代目に進化したBMW3シリーズの発表会が、1月30日、東京で行なわれた。
クルマ自体の進化については、これまで本サイとでもレポートしてきた。今回の注目点は、「日本市場に向けた商品としての3シリーズ」だ。
通常、ジャーマン3(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)が主力車種である3シリーズやCクラス、A4などを日本に導入する際は、比較的上位のグレードを最初に導入することが多い。先代になるF30(6代目)3シリーズも、導入当初は、328iのみの発売だった。したがって、比較的高価なグレードのみでスタートしたわけだ。
しかし、今回は、主力グレードとなる「320i」(2.0ℓ直4DOHCターボ)搭載の、しかもエントリーグレードである320i SEから導入した。価格は452万円である。
先に価格をお伝えしておくと
320i SE:452万円
320i Standard:523万円
320i M Sport:583万円
330i M Sport:632万円
となっている。
これを先代と比較すると
SEが設定されているのは、1.5ℓ3気筒エンジンの318i SEで431万円で、これが3シリーズの最廉価グレードだった。
1.5ℓの318i SEと新型320i SEの価格差が21万円ということなら、新型の進化幅、装備の充実を考えるとバーゲンプライスと言えるだろう。
また、販売の中心となるであろう、320i M Sportに関しては、価格はまったくの据え置き。(ちなみに日本市場はM Sport比率が非常に高いという)これも戦略的な価格設定と言っていいだろう。
ちなみに、エントリーグレードを比較すると
メルセデス・ベンツCクラス C180セダン:455万円
アウディA4 35 TFSI S tronicセダン:447万円
BMW 320i SEセダン:452万円
となる。
C180は1.5ℓ直4ターボエンジン搭載、A4 35 TFSIは1.4ℓ直4ターボエンジン搭載(FF)だ。最新テクノロジーと2.0ℓ直4ターボエンジンを積んだBMW320 SEの競争力は高いといえる。エントリーグレードの価格は、潜在顧客をディーラーに呼び込む重要なポイントだ。
新型BMW3シリーズの販売は3月9日から。まずは、320i/330i M Sportから始まるが、これを皮切りに320d xDrive、M340i xDrive、330e(PHEV)の導入が予定されている。
ボディサイズは、全長で70mm、全幅で25mm拡大している。
全長×全幅×全高:4715×1440mm(320i Standard)
でより大型化している。
日本市場に向けた3シリーズで特筆すべきはエンジンだ。他の市場ではあとから販売される320i(2.0ℓ直4ターボ)エンジンをいち早く日本に入れる。しかも日本市場向け専用開発をしたエンジンに仕立てたというのだ。
2.0ℓ直列4気筒DOHCツインスクロールターボエンジンの型式は、B48B20Bで先代の後期型と変わらないが、さまざま改良が日本市場専用ということで施されている。
ツインスクロールターボ、高精度ガソリン直噴システム、バルブトロニック、ダブルVANOSなどのテクノロジーは引き続き採用されている。これにプラスして、燃料の噴射圧の高圧化(従来の150barから350barへ)、クランクシャフトの軽量化、内部フリクションの低減、ヒートマネジメントの最適化などのメニューがB48型に加えられた。
パワースペックは
320iで
最高出力:184ps(135kW)/5000rpm
最大トルク:300Nm/1350-4000rpm
で先代と比べて
最高出力は同じ
最大トルクは30Nm
向上している。
またトランスミッションは、ZF製8速ATの8HPであることは変わらないが、第3世代(Gen.3)に進化してレシオカバレッジが拡大している。当然燃費も向上しているはずだが、まだ燃費データは発表されていない。