REPORT◉吉田拓生(Takuo Yoshida) PHOTO◉篠原晃一(Koichi Shinohara)
本邦上陸から2年経った段階ではあるが、シボレー・カマロのマイナーチェンジ版がデビューした。これまでと同じく直4、V8モデルが存在し、それぞれに限定のローンチエディションが用意されるのだが、今回試乗できたのは2.0ℓ直4ターボを搭載するシボレー・カマロLTRSの方である。
4気筒のLTRSは20台、V8のSSは30台の限定となるローンチエディションは、どちらもクラッシュと呼ばれるオレンジ色のボディと黒いセンターデカール、そしてブラックペイント仕上げのアルミホイールを特徴としている。
一方、その大元となるマイナーチェンジ版は、ボディ全体のシルエットこそ踏襲されているが、フロントマスクはブラックアウトされた部分が増えてより精悍になっており、フロントのLEDランプに呼応するように、リヤもLED化され形状も立体的なものに変更されている。
パワートレインはSSのATが8速から10速に変更されているだけで、LTRSは変更なし。とはいえ4気筒モデルでもカラーリングによるインパクトは相当なものだ。
以前から六代目カマロの印象は非常に良い。剛性感があり軽快なシャシーと賢く立ち回る4気筒ターボ+8速AT、と表現するとヨーロッパ車のように聞こえるかもしれないが、根幹となる部分は時代相応にアップグレードしつつ、アメリカンな雰囲気はちゃんと残している。ちなみにATのシフトショックは、最新のヨーロッパ的に素早くロックするのではなく、恐らく敢えて微かな粘性を残したものになっている。そこには礼儀正しくも大らかなアメリカンテイストが感じられる。
マグネティックライドコントロールの可変ダンパーを装備する足まわりは最小限のダンピング変更で上質な乗り心地とハンドリングを実現している。特に4気筒モデルは前後同サイズのタイヤを履いており、これがハンドリングの軽快さに大いに効いている。LTRSは全般的にシャシーの印象が強いモデルといえるが、ライバルとゼロヨン競争でもしないかぎり400Nmのトルクによって十分に走ってくれる。
黒一色で纏められた室内は余計な造形や装備が一切なく、1960年代から続くカマロのベーシックな立ち位置を良く表している。ナビはアップルカープレイやアンドロイドオート任せというのもシンプルでいい。標準装着されるBOSEのスピーカーの音質は相当に秀逸といえる。
大きくて安っぽくて怠惰な、三〜四代目あたりのカマロを知りつつ年齢を重ねてしまった人は、もう一度そのステアリングを握ろうという気にならないのかもしれない。だが6代目は相当に違う。騙されたと思って触れてみることをお薦めする。
※本記事は『GENROQ』2019年2月号の記事を再編集・再構成したものです。
シボレー カマロLT RSローンチエディション
■ボディサイズ:全長4785×全幅1900×全高1345㎜ ホイールベース:2810㎜
■車両重量:1560㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ ボア×ストローク:86×86㎜ 総排気量:1998㏄ 最高出力:202kW(275㎰)/5500rpm 最大トルク:400Nm(40.8㎏m)/3000~4000rpm
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&ⓇP245/40R20
■車両本体価格:561万6000円