確かに、地方によってはクラウンコンフォートのタクシーを見かけるが、仮に、同校がタクシー仕様のカスタマイズをしたらどんなモデルになるのか、それはそれで興味が湧く……。
「実習車のクラウンコンフォートを素材にしたのはいいのですが、参考になる資料がなかなかなくて……。あまり尖ってしまうとシルエットフォーミュラ仕様から逸脱してしまうので、その辺のバランスをとることに苦労しました」(前出の藤波さん)。
ボディメイクについては、随分、苦心したそうだ。
「型取りをした際は完璧に思えても、塗装をすると、光の関係で思い描いたラインやシルエットがでないんです。それで、やり直しに。より丁寧に磨き上げて型を作っても、やはり塗装すると、光の加減でまた思った風にならなくて……。何回もやり直しをしました」と前出の藤波さん。
ところで、このクラウンコンフォートは、同校の実習車になる前は、自動車教習所の教習車だったそうだ。教習車には、助手席に補助ブレーキが備わっているのだが、教習を受けている最中にそのことに気づかないことも多いはず。
「エンジンをレストアするときに、エンジンルームを覗いたら変なところにマスターバックがあって、みんなでこれはなんなんだ、ってことになりました。さらに、本来はないであろう配線があったりと。でも、逆に、そのことで一般車両にはない装備が学べたので、いろんな意味で勉強にもなりました」(前出の藤波さん)。
カスタマイズ製作をすることで、様々な発見があったそう。展示されるモデルは、さらにこだわりの要素が盛り込まれており、学生が新たな発見をしながら作り上げた力作には、見どころが詰まっている。