注目の展示車両はたくさんあるだろうけど、
R31ハウスブースに並ぶ新型ジムニーシエラの
モンスタートラック仕様は話題沸騰必至だ!
『ManiaxCars』のスッパ抜き情報をお届けする。
1月5日、別件取材で岐阜は坂祝のR31ハウスへと足を運ぶと、もう20年来の付き合いになる柴田てんちょから、「こんなの東京オートサロンに出すんスけど、どうすか?」と見せられたのが、新型ジムニーシエラベースの超絶リフトアップ仕様だった。
聞けば、ここ2ヵ月ほど、製作途中のようすをモザイクをかけてツイッターとかにアップしてたようだけど、その全容を公開するのはコレが初。つまり、『ManiaxCars』の独占事前情報ってわけだ。
なんでこんなとんでもない仕様(笑)をつくったのかというと、R31ハウスがオリジナルシャシーを展開している電動RCで、新型ジムニーシエラのリフトアップ仕様を発売するから。「スズキのライセンスをちゃんと取得してつくる電動RCのプロモーションを行なうんだったら、実車もあったほうがよくね?」という柴田てんちょの思いつき…いや、緻密な戦略(!?)によって、電動RCと同じ仕様の実車がつくられることになったのだ。
いやはや、もともと思考回路がブッ飛びぎみの柴田てんちょだったけど、それがさらに加速してるのは間違いない。
だって、R31スカイライン専門店が、ふつうジムニーなんてイジらんだろ?
このリフトアップ仕様のスゴイとこは、純正フレームにボルトオンできるよう、専用設計のアンダーフレームを持つ点にある。通常、リフトアップっていうとノーマル復帰できないような加工が加えられ、もう“後戻り”できなかったりするけど、コイツはこんな車高アップを実現しながら、いざとなればノーマルに戻せるのがまず画期的なのだ!
が、そのためにアンダーフレームを始め、ダンパーユニットやラテラルロッド、ステアリングロッド、プロペラシャフトなど、大幅なリフトアップに伴い問題になるであろう箇所に対して、すべてつじつまが合うように専用パーツを設計、製作しちゃってるのがハンパない。
そりゃそうだ、既存の新型ジムニーシエラ用パーツを組み合わせただけじゃ、こんなリフトアップ仕様をつくれるワケがないんだから。
さらにスゲェのは、ここまでつくり込んでるのにR31ハウスとしてはリフトアップキットの市販化をまるで考えてないってこと。柴田てんちょの言葉を借りれば、「シャレですよ、シャレ」となる。商売抜きで、こういうバカなこと(ホメ言葉ね)をやられちゃあ、そりゃあ、かなうはずがない(笑)。
いやはや、柴田てんちょの発想力と行動力には脱帽するしかない!
順調に進んでいると思われた『電動RCにクリソツな新型ジムニーシエラ☆リフトアップ仕様をつくるぞ計画』だけど、ひとつ大きな問題に直面した。この仕様の重要なポイントと言えるタイヤが見つからないのだ。
すでに完成予想図=電動RCはできあがってるから、それに見合ったタイヤを装着しない限り、イメージ通りの仕上がりにはならない。
そこで柴田てんちょが動いた。
ネットで調べたところ、中国のとある商社が農業用トラクターのタイヤを扱っていて、そこに行けばタイヤを手に入れられるんじゃないか、と。で、実際に柴田てんちょは中国の商社へと足を運んだんだけど、「ウチはタイヤを取り扱ってるだけでつくってるわけじゃない。メーカーを紹介するから、そっちに行ってくれ」と言われ、紹介された天津のタイヤメーカーへと急行。直談判して、なんとタイヤをワンオフでつくってもらうことになったのだ。
ヘンな話、リフトアップ用のシャシーをつくるところまでは、他のショップでもできなくはない。
けど、思い描くリフトアップスタイルを現実のものとするために専用タイヤをつくらせるってのは、常識的に考えてショップレベルでは不可能だ。
そんな不可能さえも可能にしてしまうオトコ、それがいまや坂祝の奇跡(!?)とまで言われている、柴田てんちょなのだ。
タイヤはワンオフ製作することで問題をクリアした。けど、クルマに履かせるにはホイールがなくちゃはじまらない。サイズは20インチの20J(笑)らしい。
で、アメリカの某ホイールメーカーにそのサイズがあることを突き止めたんだけど、あろうことか、そのメーカーはすでに倒産してしまっていた。
万事休すか…と、そこであきらめる柴田てんちょではない。ネットオークションに出品されていたそのメーカーの20インチ13Jのホイールを手に入れ、センターで2分割してリムを溶接で継ぎ足すという作戦を取ったのだ。
ところが、ホイールにタイヤを組もうにもタイヤはデカいわサイドウォールは硬いわで、農機具用の特殊なタイヤチェンジャーをもってしてもホイールに組むのが不可能。
そこでもう一度ホイールを分割し、タイヤの内側と外側からホイールを押し込み、その状態でセンター部分を再び溶接したのだ。こうなると、もはやラジコンやプラモ感覚。もっとも、電動RCのプロモーション用なんだから、こんなつくり方でもぜんぜんアリだ。
ちなみに、ホイールとタイヤをそんなふうに組んでるから当然、空気を入れようにも漏れて入らない。
ところが、エア圧ゼロでもタイヤ1本あたり800kgの耐荷重があるから、4本で3200kgまでは支えられる。つまり、車重1トンちょいの新型ジムニーシエラなら、エア圧ゼロでもまったく問題ないのだ。これぞまさに天然ランフラットタイヤなんじゃないだろうか(笑)。
今回はとりあえずカタチだけ完成させて東京オートサロンに展示されるけど、次なるステップとして、このリフトアップ仕様のままちゃんと走らせられるようにするという。
その常軌を逸したプロジェクトをの全貌を知りたいひとは、R31ハウスブースで柴田てんちょをつかまえ、ぜひ話を聞いてもらいたい。
最後にひとこと言っておく。
今回の東京オートサロン、R31ハウスの新型ジムニーシエラリフトアップ仕様は見逃しちゃダメだ!