『インポートクラス』
◆インポートクラスとは?
かねてから魅力的なコンパクトカーが多い輸入車カテゴリーでは、欧州のメーカーがしのぎを削っている。主に2BOXのハッチバックが主流となっており、Aセグメント、Bセグメントなどと呼ばれ、個性的なラインナップとなってる。
ゴルフとほぼ同等の機能を搭載
選択肢を広げるふたつのエンジン
「こんなに立派になっちゃったら、ゴルフが売れなくなるんじゃない?」というくらい、サイズも性能もジャンプアップしたのが、2018年3月に六世代目となったポロ。全長4,060㎜はともかく、全幅1,750㎜はゴルフV(二世代前)とほぼ同じ。しかもプラットフォームはゴルフⅥから採用されたMQB(モジュラートランスバースマトリクス)を共用。土台部分は現行ゴルフⅦと同じだし、先進安全装備も同等のものが用意される。
サスペンションも、基本的に同じ。ゴルフは「ハイライン」以上のグレードでリヤサスが4リンク式となるが、「コンフォートライン」以下はトーションビーム式で、ポロもこれを踏襲している。つまりは走行性能においても、六代目ポロは「ほぼゴルフ」と言えるのだ。
性能面での違いはエンジン。ゴルフが1.2ℓ〜1.4ℓの4気筒ターボエンジンであるのに対し、ポロは1.0ℓの3気筒ターボエンジンを搭載。しかし振動騒音面で多少の不利があるだけで、ポロの車重には十分なパフォーマンスを発揮する。
標準グレードで満足できないなら、「GTI」を選べば良い。エンジンは2.0ℓの4気筒ターボになるから、動力性能はゴルフの「ハイライン」をはるかに凌駕。アクティブダンパー付きスポーツサスや電子制御デフロックなどを備えながら、価格はゴルフの「ハイライン」とほぼ同じだから、むしろお買い得だ。
VW最小で小回りに優れる
鋭い操舵感に安定した乗り味
up!はVWの中でも最小サイズに位置付けられる。ポロが現行型で3ナンバーサイズに拡大され、up!は輸入車で貴重な5ナンバー車になった。全長はパッソよりも短く、小回り性能も優れている。
エンジンは1.0ℓ直列3気筒で、動力性能は平凡だが、車両重量が1t以下だからパワー不足はない。
ATは1組のクラッチを使う5速ASGだ。Dレンジに入れてアクセルペダルを深く踏むと、変速時間の長さが目立って加速が途中で中断される。身体が前後に揺すられてギクシャクしやすいが、発売当初よりは滑らかで、アクセル操作による速度の微調節がしやすい。
ちなみに600台限定で販売されたup!「GTI」は、1.0ℓエンジンにターボを装着して6速MTと組み合わせる。この仕様は小さなスポーティカーとして魅力があるから、今後も継続的に輸入して欲しい。
up!は割り切った機能も多いが、逆にいえば、VWが大切にする性能が浮き彫りにされている。曖昧さのない操舵感は、ポロやゴルフに似ている。高速道路でも進路の微調節がしやすく安定性も高い。
運転席の座り心地も同様だ。硬さと腰の支え方が絶妙で、長距離の移動でも疲れにくい。安価な輸入車は、ブランドの主張が分かるメリハリのあるクルマづくりが魅力だ。up!の後席は狭く、ウインドウは手動で外側に少し開くだけだが、優れた機能があると納得させられてしまう。
3&5ドア系を大リファイン
コネクテッドサービスも充実
2001年にBMWが親元になってから、世界で快進撃を続けてきたMINI。現在では、プラットフォームをBMW車と共有する“小さくないMINI”(クロスオーバー)も揃えるブランドへと成長しているものの、本流は当初デビューの3ドアモデルや派生した“コンバーチブル”や“クラブマン”。さらには、3ドアに対して後席居住性を向上させた5ドアモデルにあることは間違いない。
新型MINIとして18年5月から販売されているのは、3ドア/5ドアと、コンバーチブルに大幅なリファインが施されたモデルだ。“ユニオンジャック”を模した左右非対称グラフィックを用いたテールレンズの新採用や「ジョンクーパーワークス」以外のガソリン車には6速ATから7速DCTへの変更。「ジョンクーパーワークス」では、6速ATから8速ATへの変更などが、この度のリファインの主なメニューとなっている。
最もベーシックな3ドア/5ドアの「ONE」を除いて、コネクテッド機能が大幅に強化されたのも“プレミアム”を自認するブランドならではの特徴。車載の通信モジュールで最新ニュースや天気予報などの情報が入手ができるほか、アップル社製の専用アプリを介して、車外からのドアロック/アンロックや、事前に検索した目的地などの情報を送信して、車載ナビゲーションシステムにプリセットすることなどが可能になっている。
日本に馴染む絶妙なボディ幅
AT車は自動ブレーキが標準
プジョーのコンパクトカーは日本でも常にエポックな存在だった。1980年代に発売された205は、真面目だが野暮ったいというプジョーの従前イメージを一新した上に日本でもヒットしたし、その次の206は日本でそれ以上の大ヒット作となった。続く207は販売成績こそ205や206ほどではなかったものの、操縦安定性は高く評価された。同世代の国産コンパクトカーの開発陣からは、必ずと言って良いほど名前が挙がったものだ。
そんな系譜を受け継ぐ208は、前身となった207と共通のプラットフォームを使いつつ、前後オーバーハングや全高を縮小して登場。それまでの欧州コンパクトは年々サイズが拡大しており「どこまで大きくなるのか?」と危惧され始めた矢先のダウンサイジングは、208の発売当時も大きな話題となった。
国内発売からも6年が経過した現行208がモデル末期に近づいているのは間違いない。パワートレーンには歴代で何度か変更があったものの、現在は(スポーツモデルの「GTi」系を除けば)全車1.2ℓ3気筒エンジンに統一されている。
主力はそのターボ版と6速ATの組み合わせだが、唯一200万円を切る安価なエントリーモデル(というよりマニア向けニッチ商品?)として自然吸気+5速MTもある。自動ブレーキについては、赤外線方式の低速追突限定タイプがATモデルにのみ用意されている。