大きく開くリヤゲートと、トランクを持たない2BOXフォルムが基本的なスタイル。積載性や大きな荷物の出し入れがしやすい使いやすさと、狭い道での運転やパーキングも容易なパッケージは老若男女に受け入れられている。パワートレーンもハイブリッド、ディーゼル、モーター駆動、ダウンサイジングターボと、個性が際立つラインナップとなっている。
改良で上質さが増した内外装
歩行者対応の安全装備も搭載
登場からまもなく丸7年が経過するにも関わらず、今でも月販上位の常連となるほど高い人気を保っているのはさすがというほかない。
2年余り前に二度目のマイナーチェンジを実施して商品力の大幅な強化を図り、現在のような姿になったのは既報の通り。思えば安普請な印象の強かった登場当初のアクアとはずいぶん変わったものだ。
現代的にリフレッシュされてスムーズなイメージになった外観は、あたかも車格が上がったかのように思えるほど。ボディカラーが非常に豊富に用意されているのも特筆できる。
センタークラスターは一体感のある面構成となり、合皮のホワイトソフトレザーのシートも選べるようになったインテリアの雰囲気も、かつてのアクアとは隔世の感がある。
さらには、もともと老若男女を問わないキャラクターの持ち主である一方で、今では「クロスオーバー」や「GRスポーツ」、モデリスタが手掛けたコンプリートカーなどといった特徴的なモデルを選ぶこともできるようになった。
直近の2018年4月の一部改良では、プリクラッシュセーフティに歩行者検知機能を加えるなど、より進化した最新版の「トヨタセーフティセンス」が搭載された。
さらに9月には「クロスオーバー」をベースにブラウンとブラックを基調とした内装や特別なボディカラーを設定したほか、いくつかの特別装備を加えた特別仕様車が設定された。
改良で安全装備の仕様が向上 搭載エンジンで走りを差別化
三代目となる現行ヴィッツの発売開始は2010年末なので間もなく8年を迎えるが、今でも販売台数ランキングの上位に名を連ねている。その理由は二度にわたるフェイスリフトやハイブリッドモデルの追加、安全装備のアップデートなどを行ない、常にライバルと戦うことができる商品力を維持しているためだ。直近の改良では5月に安全装備のトヨタセーフティセンスがレーザーレーダー+単眼カメラ方式に切り替わり、自動ブレーキが歩行者にも対応するようになった。同時に後退時や誤発進時にも自動ブレーキが作動する、インテリジェントクリアランスソナーをオプション設定した。
ヴィッツはグレード展開が豊富なことも魅力。1.0ℓの3気筒から、4気筒の1.3ℓ、1.5ℓのハイブリッドを設定し、スポーティモデルの「GR」系には1.5ℓを搭載。「GR」系では5速MT車も選べる。
走りの質感もエンジンやグレードによって印象が違ってくる。1.0ℓでは力不足を感じるシーンが多く、エンジンの透過音も大きくなるが、1.3ℓだと俄然スムーズに走れるようになる。ハイブリッドになると静粛性も高まるため、一気に上質な乗り味になる。ハンドリングは改良のたびに足まわりに手が加えられ、ボディ剛性もアップしたので、しなやかな乗り心地と安定性を上手くバランスさせている。ロングセラーモデルではあるが、外観や走り、装備面から古さを感じさせることはない。
街乗り重視の自然な操舵感 余裕の走りで低速も力強い
パッソはトヨタブランド登録車のボトムエンドを担う存在。企画・開発・生産はダイハツが担当し、同社のブーンとは姉妹車となる。
外観デザインは2フェイス戦略。中性的でプレーンな「X」のほか、丸形ヘッドランプとメッキグリルでクラシカルな演出をした「モーダ」の2種類が用意される。さらに、「モーダ」にはルーフを黒くした2トーン仕様を用意して差別化を実施。それ以外にも、デカールで化粧をした
「スタイリッシュスタイル」やエアロパーツを装着した「アクティブスタイル」など、さまざまな純正カスタマイズカーが用意されている。
乗り味は、日本の市街地がベストという印象。「30km/h以下での頭のふらつきを抑えることに注力した」と開発陣が言う通り、市街地走行速度で工事の補修跡を通過した際も、ゴツゴツとした突き上げは良く抑えられている。
操縦性能はキビキビというタイプではなく、どちらかと言えば“おっとり型”だが、鈍すぎるということはなく、左右の切り返し時の収まりも自然。このあたりは軽自動車より幅の広いボディが効いている。
エンジンは低速から力強く、信号からの発進でも出遅れることはない。坂道でもエンジン回転が唐突に高まることはなく、軽自動車の自然吸気モデルより常に余裕を持って走れる。
基本性能は「X」も「モーダ」も同じだが、「モーダ」は前ドアトリムに吸音材を入れ、静粛性では上回る。
取り回しが良好な絶妙ボディ
素早い走りでしかも低燃費
ダイハツが軽自動車で培った技術を活用してつくられたコンパクトカーがブーン。トヨタにも供給されており、パッソの名前で販売されている。パワートレーンは1.0ℓ3気筒+CVTの1種類のみだが、外観はふたつのタイプから選ぶことができ、ベーシックなデザインの「X」と、キュートな丸目のフロントマスクを採用した「シルク」が用意される。「X」の全長は国産コンパクトカーでは最小となる3659mmしかなく、全幅も1665mmとスリムなので、初心者でも楽に取り回すことができる。だが、実際に車内に乗り込んでみるとベンチシートやインパネシフトが装備されるため、前席は狭さを感じることはない。後席も四角いボディ形状のおかげで、大人でも楽に座れる居住性が確保されている。
エンジンが1.0ℓの自然吸気だから走りはパワフルとは言えないが、ボディが軽量なため意外なほどキビキビと走ることができる。それでいながらもライバルを凌駕する優れた燃費性能をマークしている点も見逃せない。3気筒特有の安っぽいエンジン音も気にならないレベルだ。街中での快適性を重視した足まわりを採用しているから、曲がる時には多少ロールするが傾きながらも粘ってくれるので山道でも安心感は高い。
安全装備が現在のダイハツ軽自動車よりも古い世代のスマートアシストⅡというのが難点だったが、2018年10月のマイナーチェンジでスマートアシストⅢへと進化した。