交通の危険(を生じさせた場合):3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(改正前)→1年以下の懲役または30万円以下の罰金(改正後)
さらに、交通の危険を生じさせた場合は、交通反則通告制度の対象から外される?
これだけを見ると、なんか「大変!」感満々だが、実は、「携帯電話保持等」違反には従来通り、交通反則通告制度、いわゆる反則金制度が適用される。ただし、反則金も約5倍に引き上げられるが、どっちみち、制度を受け入れれば反則金を払えば終わり。決して懲役刑に処せられることはない。可能性があるのは制度を受け入れずに、正式裁判に持ち込んだときのみだ。
確かに「携帯電話保持等」違反は、「電話してた、してなかった」「ディスプレイを見てた、見てなかった」というドライバーと警察官の言い合いが起こりがちな違反といえる。が、ドライバーにとっては「違反を認めない」ということは「裁判で争う」という意味に等しく、その場合にこの厳罰化がものを言う。悪く言えば、「違反を認めないで正式裁判を要求すると、最悪、懲役刑を喰らうことになりますよ。だから素直に認めて反則金を払った方がいいんじゃないですか?」というわけだ(よっぽど悪質でない限り、罰金で終わる可能性は高いが、それでも前科が付くだけにリスクは高い。)
つまり、どちらかというと「大変」なのは「交通の危険」を生じさせると反則金では済まなくなるかもしれないと言うこと。もちろん、「ながら運転」が原因で事故を起こし人を死傷させた場合は、正式裁判で実刑判決を喰らうことになるが、それはもはや危険運転致死傷罪の範疇であり、もし、この違反の罰則がそのまま適用されるとしたら比較的軽微なケースで速度違反の赤切符同様、略式裁判の後、罰金を払って終わりということになりそうだ。
いずれにしても、この改正案は、警察にとって、反則金収入の大幅アップも大きな目的のひとつであるということを前提に可否を判断して欲しい。
この試案は12/25からパブリックコメント(意見公募)を実施し、修正されたあと、年明けの定例国会で可決され、2019年度中に施行される可能性が高い。いい機会だから、ぜひ、パブリックコメントに応募して、国民の意見を警察に伝えよう!
余談だが、「罰金」と「反則金」を混同している記事が見受けられるが、反則金=罰金ではないので、くれぐれも惑わされないように!