さらにSTは、高密度メモリを小型かつ低コストの少ピン・パッケージに組み込んでいる。また、STM32G0シリーズは革新的な省電力機能を搭載しており、低消費電力化にも貢献する。
STM32G0シリーズには、現在のネットワーク接続型機器に要求される堅牢なセキュリティを実現するため、セキュア・ブート対応のメモリ保護機能など、さまざまなハードウェア・ベースの機能が導入されている。さらに、同シリーズの一部の製品にはオプションとして、真乱数発生器(TRNG)を備えたAES-256ハードウェア暗号化アクセラレータが用意されており、暗号処理をCPUからオフロードすることができる。
そのほか、バッテリ充電が可能なPower Deliveryバージョン3.0を含む最新のUSB Type-C仕様をサポートしている。
STM32G0シリーズは、Arm Cortex-M0+プロセッサを搭載し、消費電力に制約のある機器で優れた性能を発揮する。同シリーズは、スマートフォン、スマート家電、空調システム、コンスーマ/産業機器用モータ制御、IoT機器、充電型ネットワーク接続機器、ドローン、照明システムなど、ネットワーク接続環境で急速に進化しているアプリケーションに最適。
STM32G0シリーズは、次世代機器の小型化、部材コスト削減、および性能と機能の向上に役立つ、多くの特徴を備えている。パッケージは、8bitマイコンからのアップグレードが容易な8ピンから100ピンまで、幅広く取り揃えている。Flashメモリ容量は16KBから512KBから選択可能で、512KBは小型の32ピン・パッケージにも対応しているため、小型・低コストの製品で、洗練されたアプリケーションを実現することができる。
また、CPUの最大動作周波数が64MHzであるため、標準的なエントリ・レベルのマイコンと比較して高速で処理することが可能。一方、柔軟性に優れたクロック設定が可能なため、限られた消費電力で最適な性能を確保できる。
STM32G0シリーズは、駆動時でも100µA/MHz未満と非常に高い効率を実現するとともに、消費電力の削減とバッテリの長寿命化を実現する省電力動作モードを複数搭載している。STOPモードでは3〜8µA、STANDBYモードでの消費電流はわずか500nA(いずれもリアルタイム・クロック実行中の3.0V、25°C動作時)。
さらに、アップグレードされたペリフェラルにより、性能・速度・精度が向上している。内蔵の12bit A/Dコンバータ(2.5MSPS)は、16bit分解能のハードウェア・オーバー・サンプリング機能に対応している。そのほか、2チャネルD/Aコンバータ、高速コンパレータ、高精度タイマ(分解能7.8ns)も内蔵している。
また、ユーザ設定が可能なI/Oの増加分に加えて、特許取得済みの電力分配機能を内蔵し、電源デカップリング用の外付け部品数を低減できるため、部材コストの削減にも貢献する。
内蔵の電磁感受性(EMS)対策機能が強化されていることも、基板面積と部材コストの削減に貢献。4.5kVを超える高速トランジェント・バースト保護(IEC 61000-4-4に準拠)を実現しているため、フィルタ部品の必要性が軽減され、基板レイアウトを簡略化できる。また、優れた電磁気特性を簡単に実現できるため、EMC規格への対応が容易となり、製品開発期間の短縮にも貢献する。
STM32G0シリーズには、複数の製品ラインが計画されている。例えばSTM32G071、STM32G071のハードウェア暗号化機能を強化したSTM32G081、マス・マーケット向けバリュー・ライン製品のSTM32G070などが含まれる。バリュー・ラインのSTM32G070CBT6(48ピン・パッケージ、Flashメモリ容量:128KB)の参考サンプル価格は、約0.69ドル。