三菱重工は、インマルサット社から同社が2020年以降の運用開始を計画する第6世代通信衛星(Inmarsat-6)シリーズ初号機の打上げ輸送サービスを現行の基幹ロケットであるH-IIAで受注した経緯がある。この一連の合意は、打上げサービス分野における両社のパートナー関係の進展を象徴するものだ。
インマルサット社のルパート・パース(Rupert Pearce)CEOは、次のように述べている。
「当社は、移動体通信における世界的リーダーであり、この地位はパートナー企業との協業関係の拡充・多様化に努めることで構築したものです。当社は、新たな市場に進出し、商機を創出するために、イノベーションにコミットする新しいパートナーを絶えず探し求めています」
同CEOはさらに
「このような理由により、当社は2017年に三菱重工を打上げパートナーに選定し、また、このたび民間企業として初めてH3ロケットを選択することを決定しました。このような発表ができることを嬉しく思います。私たちは、H3が世界レベルのイノベーションを象徴するものであり、将来インマルサット衛星を軌道に乗せるために効果的かつ効率的なサービスを提供すると信じています」
と続けた。
一方、三菱重工の渥美 正博宇宙事業部長は、次のようにコメントした。
「H3ロケットの開発は国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)を核としてキーコンポーネントメーカーと主契約企業である当社が連携しながら進めている途上にありますが、今回高い評価を頂けたことに改めて感謝します。お客様の期待に応えるべく、JAXAや政府機関のもと、この基幹ロケットをしっかりと開発していきたいと存じます」
また、英国のグレッグ・クラーク ビジネス・エネルギー・産業戦略大臣は、次のようにコメントした。
「英国のインマルサット社と日本の三菱重工の間で築かれた長期的かつ戦略的なパートナーシップが示すように、科学とイノベーションに国境はありません。また、宇宙産業は英国にとってサクセス・ストーリーであり、グローバルに成長を遂げている産業です。英国政府は、国内初のスペースポート建設や過去最大規模の科学産業への投資を通して宇宙産業へのサポートを継続していきます」
三菱重工の打上げ輸送サービスは、97.9%という非常に高い成功率を誇り、2005年以降41回連続で成功。さらに、H-IIAおよびH-IIBともに、定刻打上げにより高い顧客満足を実現している。