ちなみになぜ大型商用車が24V電装を用いるかといえば、スタータモータの駆動力を得るのが理由のひとつだったと聞く。大排気量+高圧縮比エンジンにおいてスタータモータを回転させるためには大トルクが必要となり、当然、大きなモータとなり、12V電装ではハーネス径が大きくなり──というスパイラルに陥るからだ。負荷が同じ消費電力とするなら、12V電装に対して24Vシステムならば電流値を半減することができる。同じハーネス径とするなら消費電力を高めることができる。バッテリはふたつを直列に接続すればいい。こうして大型商用車の24Vシステムが成立した。
ならば24Vを生み出す装置についてはいかがか。ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、一般的に乗用車用のオルタネータは発電時におよそAC16Vを生み出し、それをレギュレータレクティファイアによって整流降圧してDC12Vとしている。ところがマツダのオルタネータは、もともとオルタネータでおよそAC25Vを発電している。これはi-ELOOPがデビューしたときにエンジニアから直接お訊きした話で、だとすると今回の24Vハイブリッドシステムの構築にあたっても、最上流のデバイスはもともと開発が済んでいるということになる。
現在のi-ELOOPは、回生エネルギーをキャパシタに蓄電し、各種負荷への給電とオルタネータの駆動停止による抵抗低減を図るシステム。いわば一方通行である。ならば今回の「M Hybrid」とはどのようなシステムなのだろうか。駆動力をアシストすることからHybridの名称を冠しているのだと考えれば、オルタネータをアシストモータとしても使えるものとし、ベルトを介してメインシャフトを回転させる方式を採用しているのではないだろうか。
たとえばボッシュが48Vシステムにおいて開発を進めるブースト・リパキュレーション・システムや、さらに身近な例で言えば日産のSハイブリッド、スズキのエネチャージに見られるようなエネルギーフローだ。
蓄電装置はキャパシタを継続採用する──と予想したい。i-ELOOPを採用してからの年月とキャパシタの大電流充放電特性に、コストを含めたMazda3というセグメントとの親和性を感じるからだ。