ホンダ・シビックの10代目は、最小排気量に3気筒ターボを載せている。先代までの自然吸気エンジンの代替として順次置き換えが期待される、最新型エンジンである。先に登場している1.5ℓターボは高効率追求型として仕立てられているが、本機はいかがか。欧州のトレンドに合致する仕様を数多く備える、ホンダの思惑を考察してみよう。この1.0ℓVTECターボは、2019年登場の次期フィットに搭載される……という噂もある。さて、どんなエンジンか?


TEXT:世良耕太(Sera Kota) PHOTO:山上博也(Yamagami Hiroya)

 ホンダは2013年の第43回東京モーターショーを前に、直噴ターボガソリンエンジンの「VTEC TURBOを新開発した」と発表した。VTEC TURBOは2.0ℓ・直4、1.5ℓ・直4、1.0ℓ・直3の3機種で構成される。2.0ℓ版はホンダの代表的な高性能スポーツモデルであるシビック・タイプRの専用エンジンとして15年に実用化された。過給ダウンサイジングというより、高出力ユニットの位置づけである。1.5ℓ版は、やはり15年に新型に移行したステップワゴンに載ってデビューしている。前型が搭載していたエンジンは2.0ℓ・直4NAだったので、過給ダウンサイジングと捉えていい。




 では1.0ℓ版は? 17年に欧州で生産が始まったシビック・ハッチバックに搭載されてデビューした。過給ダウンサイジングの考えは明快で、ベンチマークを1.8ℓ・直4NAに置いている。すなわち、従来の1.8ℓ・直4NAに対して、同一車格で20%以上の燃費向上を図ること。低中速トルクを20%向上すること。3気筒特有の振動を抑制すること。VTEC TURBOの末弟はこの3つを開発の目標に掲げた。




 過給ダウンサイジング選択の動機が主にモード走行領域での燃費向上なのは、他のメーカーと同じである。しかし燃費だけのために過給ダウンサイジングを選択したのではないことは、「低中速トルクを20%向上すること」(Honda R&D Technical Review Vol.29 No.1)の文言から推しはかることができる。商品競争力の向上に結びつけるため、走りの気持ち良さを狙ったのは間違いない。

2012年にデビューした9代目シビックの5ドアは1.4ℓと1.8ℓの直4ガソリンエンジンを設定。15年にはVTEC TURBOの2.0ℓ版がFK2型タイプRに搭載され、日本でも限定販売された。大柄になった10代目は15年に登場。2ドアクーペ、4ドアセダン、5ドアハッチバックのうち、セダンとハッチバック(とハッチバックのタイプR)が17年に日本に導入。欧州では設定のあるVTEC TURBOの1.0ℓ版は導入されず、1.5ℓ+CVTが主力。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 2019年登場の新型ホンダ・フィットに搭載か? ホンダ 1.0ℓ VTEC TURBOはエコターボなのか?