ちなみに昨年(平成29年)の交通事故死者数は3,694人と、前年と比べて210人(-5.4%)の減少を見ている。今年も8月末までの死者数は2,179人と前年比ー120人(-5.2%)を達成しているが、このままでの減少率では、目標の2,500人以下にはとうてい及ばない。が、しかし、G20大阪サミットやラグビーワールドカップ、そして東京オリンピック等の世界的行事を前に、世界中の目が日本に注目しつつある今、政府としては意地でも目標を達成したいという事情があるのだ。
となれば、交通取り締まりが交通事故減少の1番の特効薬と考えている警察が、来年、やっきになって取り締まりを強化してくるに違いない。事実、自転車の取り締まり強化、あるいは可搬式移動オービスの導入により、取り締まりの拠点を幹線道路から生活道路に移すなど、すでにその兆候は目に見えている。事実、交通取り締りに関する通達件数が、昨年から急激に増えているのだ。
なお、今回の通達の骨子は以下の通り。
☆運営重点ポイント
1. 高齢者の交通事故防止対策の推進
・認知機能検査や高齢者講習の実施
・運転免許自主返納の広報啓発
・ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐ運転サポート車の普及啓発
2. 歩行者・自転車に対する交通ルール浸透のための取り組みの推進
・幼稚園、保育所、小学校及び保護者との連携による「横断の仕方」教育
・反射材用品、LEDライト着用の推進
・横断歩道手前での減速義務と横断歩道における歩行者優先義務の徹底周知
・自転車のルール&マナーおよび安全対策の周知
・車道との分離を目的とした自転車通行空間の整備
・「自転車指導啓発重点地区・路線」を中心に交通違反に対する指導強化および悪質な
違反への積極的な検挙措置
3. 交通事故抑止に資する交通指導取り締まりの推進
・新たな速度取り締まり機器の導入によるゾーン30等生活道路の取り締まり強化
・従来の悪質性・危険性の高い違反に加え、国民から要望の多い迷惑製の高い違反に重点
を置いた指導取り締まり。
・シートベルト着用、チャイルドシート使用、横断歩行者等妨害等の取り締まり強化
以上、抜粋。
いうまでもなく、今まではどちらかというと厳格な取り締まりが行われていたとはいいがたい、シートベルトやチャイルドシートの使用に係わる違反、携帯電話使用等違反、横断歩道での歩行者妨害、さらに自転車での法令違反等の取り締まりがグッと強化されることになる。また、いままではレアケースだった15km/hオーバー以下での検挙も増加の兆しが見えている。もう「すいませーん」や「今度から気をつけます」じゃ済まなくなるかもしれない。
とにかく、政府の目標が達成されるか否かよりも、国民の大切な命が理不尽に奪われなくなる世界になることが先決。警察にはあくまでも適正かつ国民が納得できるような取り締まりを望みたいものです。