TEXT◎佐藤久実(SATO Kumi)
PHOTO◎BMW AG
BMW X5は、オンロード志向のスポーティなSUVのパイオニアとも言える存在だ。その4代目となるニューモデルの国際試乗会が、アメリカのアトランタで開催された。
試乗したグレードは、X5 xDrve30d。3.0ℓ直列6気筒ディーゼルエンジンに8速ATを組み合わせ、最高出力265㎰、最大トルク620Nmのパワースペックを有する。ボディサイズがひと回り大きくなり、全幅はドアミラーを含めると2m越えとなる。室内に乗り込むと、シートのヒップポイントがBMWとしては珍しいほど高めに設定されている。ドライバーオリエンテッドなコクピットレイアウトであることは変わらないが、最新のオペレーティングシステムが搭載され、フルデジタルのメーターパネルやコントロールディスプレイが採用されていて、新鮮な印象だ。
楕円形のメーターパネルは、両サイドにスピードメーターとタコメーターが表示され、センターにはナビゲーションの地図を表示できる。ヘッドアップディスプレイも表示されるため、ドライバーは運転中でも目線の移動を最小限に抑えることができ、視認性、安全性も高まっている。一方、コントロールディスプレイには、最大10ページのメインメニューが表示され、各メニューで4個のコンテンツを並べられるので、操作性や利便性も高い。新型X5はコネクティッドも大幅に進化している。
というのも、サスペンションのみならず、ダンパー、スタビライザー、アクティブ・ステアリング、AWDなどなど、あらゆる装備が電子制御によってコントロールされている。それでいてクルマに操られている感がなく、ドライバーの操作に忠実に、いつ、何の機能がどのように作動しているかを意識させずに自然体で気持ち良く走らせてくれる。四輪操舵に至っては、よく曲がり、ボディサイズを感じさせない、という印象はあるものの、装備されていることすら感じさせない自然さだ。統合的な制御の熟成度には恐れ入った。
快適性とオンロードのハンドリングのバランスが見事だが、開発者によると、そもそもエアサスペンションは、オフロードでの走破性向上のための必要条件として採用したとのこと。オフロード試乗も用意されていたが、サマータイヤのままでも高い悪路走破性を披露した。
ドライバー・アシスタント・システムも最新のものが装備され、安全かつ快適にドライブできる。のみならず、将来の自動運転に向けた取り組みも垣間見える。たとえばブレーキバイワイヤーシステムは、制動力、コントロール性ともに満足いくパフォーマンスだった。
新型X5は、ビジネスからファミリーユースまで、オンロードからオフロードまで走りのレンジが広がり、マルチに活躍するSUVとして進化している。
※本記事は『GENROQ』2018年12月号の記事を再編集・転載したものです。
SPECIFICATIONS
BMW X5 Xドライブ 30d
■ ボ デ ィサ イズ:全 長4922×全幅2004×全高1745㎜ ホ イ ー ル ベ ー ス:2975㎜ トレッド:Ⓕ1666 Ⓡ1685㎜ ■車両重量:2185㎏ ■ エ ン ジ ン:直 列6気筒DOHCディーゼルターボ ボア×ストローク:90×84㎜ 総 排 気 量:2993㏄ 最 高 出 力:195k W(265㎰ )/4000rpm 最 大ト ル ク:620Nm(63.2㎏m)/2000〜2500rpm ■トランスミッション:8速AT ■ 駆 動 方 式:AWD ■サスペンション 形 式:Ⓕ ダ ブ ル ウ イッシ ュ ボ ーンⓇ5リンク ■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ&Ⓡ255/55R18(8.5J) ■ 環 境 性 能(EU複合 モ ー ド ) 燃 料 消 費 率 :6.8〜6.0ℓ/ 100㎞