TEXT●大家伝(OYA Den)
パフォーマンス、快適性、スタイルに関するアップデートが施されたGTSシリーズだが、今回は5つのバージョンで再編成されているのがポイントだろう。
その構成はGTS、GTS Touring、GTS Super、GTS SuperSportといったこれまでと同様のバージョンに、新たにGTS SuperTechが加わった。
GTSシリーズにおける最新のトピックは、スマートフォンとの接続を最大限有効なものとするカラーTFTディスプレイを標準装備し、VESPA MIAシステムとの連携を可能とした点だろう。これはスマートフォンをBluetooth経由でGTS搭載電子機器システムに接続するというもの。接続すると車両状態、パラメータといったさまざまなインフォメーションを確認でき、ナビとして機能させることも可能。
この5つのバージョンそれぞれに2つのエンジンサイズが用意される。1つはこれまでに高い評価を得ている125i-getで、9kW(12.23PS)/11.1Nmというスペック。そしてRISS(Regulator Inverter Start&Stop System/スタート&ストップシステム)を搭載。このシステムはエンジンが適切な動作温度に達したかどうかに応じて、スクーターが停止してから3~7秒後にエンジンを自動的にオフにするというもの。そしてより静かなスタート、安定した発電力、燃費の向上といった利点を持つのもポイントだ。
もう1つは新開発300hpe(ハイパフォーマンスエンジン)で、排出ガス量と燃料消費量を効率よく制御しながらもベスパ史上最強の23.79PS/26Nmを発揮している点。これは新しいヘッドとピストンの採用で、非常に効率的な燃焼室を得たことが大きな要因となっている。そして新しい高圧マルチジェットインジェクターの導入で燃焼を改善、吸気ラインの見直しで低い回転数の供給トルクを改善、その結果どんな速度でも非常に滑らかな乗り心地が得られるという。
車体まわりに目を向けると、電子制御パッケージの標準化も見逃せない。ホイールスピンを防止するASR電子トラクションコントロール、これにABS制動システムを組み合わせている。さらにフロントヘッドライトとテールライトにフルLED技術を採用。ハンドルバーの形状、フロントマッドガードのクロムクレスト、バックミラーなどが見直され、レッグシールド側面のグリルには新しいハニカムモチーフを採用。サイレンサーカバーも形状を刷新。
また人間工学に基づいて自然なポジションが得られるシートを採用し、大容量のシート下収納には専用ジェットヘルメットを2つ収納可能となっている。さらにグローブボックス内にはUSBポートがあり、外部デバイスの充電が可能だ。