しかし、軽自動車であるアルトワークスは、軽だからこその悩みがいくつかある。
アルトワークスはエンジントルクも豊富だし、1速から4速までのギヤ比がキッチリと近づけられ、加速重視のつながりの良いクロスミッションは軽いボディをグイグイと引っ張ってくれる。と言うのは前回もアルトワークス の美点として挙げたポイント。
しかし、軽い&パワートレーンの駆動力が高いということは、状況によってはホイールスピンが発生しやすいとも言える。
ノーマルは車高が高くロール量も多いので、コーナリングの立ち上がり時に元気よくアクセルを踏んで加速しようとすると、フロント内輪が空転してしまうことがあるのは、オーナーなら経験したこともあるだろう。
これを解決するにはいくつか方法はあるが、比較的手軽なのはタイヤをハイグリップタイヤに替えてグリップ力を高める方法だ。
神の助けともいうべきなのがこのS660のフロントタイヤ。まさしくアルトワークスと同サイズで、しかも純正タイヤがハイグリップラジアルのADVAN NEOVAを履いていたのだ!
と、いうことでアルトワークス登場当時はアフター用リプレイスタイヤではなかったが、タイヤのグリップ力向上は「エス6フロント用のネオバ」一択で、筆者も自動的にソレを装着した次第。
今でこそヨコハマADVAN NEOVAやダンロップのDIREZZA ZⅢ、ブリヂストンPOTENZA Adrenalin (RE71Rは未設定)などのハイグリップラジアルに純正サイズがリプレイス用として設定されているが、これらはアルトワークス(とS660?)が装着することを想定して追加ラインナップされたのは想像に難くない。
で、これに合わせるホイールも前述の通り、選択肢が狭い。さらには後々に車高調整式サス(車庫調/シャコチョー)を念頭に入れる場合は、ノーマルサスよりも車高調本体とのクラランスがキツくなるので、より一層サイズ選択の幅が狭まる。
よって、こちらも純正プラスアルファくらいのものを選んでおくのが無難だろう。筆者は15×5.0J +45のノーマルに対し、当時アルトワークス 用にリリースされたばかりの、少しだけリム幅の広い15×5.5J +45サイズのADVAN Racing RZⅡを装着した。
このホイール「リム幅が狭いホイールのわりにディスク面の抑揚があって、カッコいい」と、手前味噌ながら超お気に入りのモデルだ。
ただし、ホイールについてはレーシングドライベーのレベルだと、ホイールの剛性によるハンドリングの変化なんてのも分かってしまうようだが、流石に素人レベルでは判別できる人も多くはないと思うので、ホイールについてはお小遣いに余裕がある時に替えればいいだろう。
先述のように、アルトワークスに履けるサイズがあるモデルは限られるので、サーキットでのタイムを追求したいといった要望がなければ、純正と同等のサイズから好みのものを選ぶといったレベルで良いだろう。(逆に、性能を目一杯時引き出したいなら、ホイールのリム幅やインセット量は細かく検討するべき)
さて、このタイヤ&ホイールの装着効果だが、ルックスの向上は掲載している一番上の写真の通りだが、グリップ力の向上による運動性能のアップも、もちろん獲得できた。
埼玉県のミニサーキット「本庄サーキット」でのラップタイム比較では、ノーマルの54.113秒に対しネオバ装着のベストが53.29と、約0.6秒のタイムアップを果たしたほか、周回を重ねた際のラップタイムのバラツキも減った。
単にグリップが増してベストタイムが上がっただけでなく、安定したドライビングがしやすくなるという副次効果も得られることがわかった。
気になるコストはというと……。ネットで軽く検索してみると、NEOVA AD08RもDIREZZA ZⅢもおおよそ一本1万円程度。205の17インチが1万8000円くらいなので、ざっくり半額近い、18インチなんかと比べたら1/3位の価格差ですのよ、奥さん!
4万円強の投資による、グリップとハンドリングの向上は、軽自動車だからこそ叶うコストパフォーマンスが高さなのだ。
ハンドルは良く切れるし、ブレーキも良く利くと、グリップアップにデメリットはない。「より安全に走れるようになるんだから」という、奥さんや旦那さんへの言い訳でなんとかなるレベルでは?
ぶっちゃけ言うと純正よりはハイグリップタイヤの減りは早いと思うが、まあ、普通の人にタイヤのライフなんてどれくらいが普通かなんて、バレないでしょ!
純正タイヤが減っているオーナー&お小遣いが4万円あるオーナーは、タイヤ屋さんへ、今すぐGO! やらなきゃ損というメニューです。
次回(11/6 火曜日)はブレーキチューンについて、語りたいと思います。