REPORT●浜先秀彰(HAMASAKI Hideaki)
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クラリオンの「フルデジタルサウンドシステム」は世界で唯一、デジタル音源をそのまま再生できる車載用の音響システムだ。
従来からのシステムでは音源がデジタルの場合でも、デジタル信号をD/Aコンバーターと呼ばれるユニットで一度アナログ信号に変換してパワーアンプへと送り、スピーカーで出力していた。しかしフルデジタルサウンドシステムはデジタル信号をD/Aコンバーターはもちろんのことパワーアンプも通すことなくデジタルスピーカーに出力する。これにより音源を劣化させることの少ない高効率な音楽再生が行えるのだ。しかもクラリオンはこのモデルのために3年以上もの期間をかけて車載専用高出力LSIを独自に開発。先代モデル(2013年にリリース)と比較すると約4倍の高出力とアナログシステムに比べて1/5の低消費電力も実現した。
システム構成はきわめてシンプルで、プロセッサーとスピーカー(ドア用2ウェイとサブウーハーの2種類)のみ。これにデジタル出力付きのAV一体型ナビ(同社NXV987D、MAX777Wなど)やスマホを接続でき、再生機器によってはハイレゾ音源も楽しむことが可能だ。一般的なアナログ出力搭載カーナビ/カーオーディオとも接続ができる(この場合はフルデジタルにはならないが)ので手持ちのシステムにプラスすることもできる。専用アプリを使ってスマホやタブレット端末で手軽に音響セッティングが行えるのも便利だ。
サウンドクオリティはハイエンドカーオーディオに迫るレベル。DVD、CD、スマホ、USBなどどんなデジタルソースでもリアル感がたっぷりと感じられ、歌手や演奏者の姿を目の前にイメージできる臨場感の高さだ。これほど高レベルの音が従来システムの半分以下のコスト(個人的な感覚だが)で手に入るのだからデジタル化の効果は絶大といえる。
デジタルならではの効率のよさから高音質化や省電力化が達成でき、システムのシンプルさで軽量化が図れるフルデジタルサウンドシステムは今後の進化が大いに期待できる。