そんな目的一直線という潔いジムニー。そのために、現代の自動車の本流からすればずいぶん離れているフレーム構造とリジッドアクスルを用いているのが特徴である。頑強な井桁構造のフレームに、これまた頑強なホーシング(Housing)で車軸/デフを包んだリジッドアクスルを懸架することで、悪路における耐入力性や路面追従性の良さを発揮する。ボディは、言ってみればそのフレームの上にポンと載せられているだけなので大きな応力を受けない。
ジムニーのフレーム。なんと美しいのだろうか。ジムニーのボディ。下側に青く示されているのがフレーム部。 現代の自動車として主流のモノコック構造に独立懸架サスペンションでも、相応の悪路走破性能は持たせられる。事実、三菱自・パジェロやランドローバー・レンジローバーなどはビルトインモノコックと称する、モノコックの下面にラダーフレーム状の部材を直接接合するボディ構造を採っている。ランドクルーザーもフロントサスペンションはダブルウィッシュボーンを採用して久しい。
しかし、完全にプロユースであるトラックをはじめとして、本格4WDと呼ばれるクルマはフレーム+リジッドを堅持する。「これでないと」という走行シーンが確実に存在するからだろう。
というわけで、ジムニーが大人気でディーラーに行ったけど数年先の納車になると言われた、ジムニーを買ってみたけどもっとスゲーのが欲しくなってきた、ジムニーみたいなバリバリのオフローダーが気になる、陸サーファー状態だけどカッケー四駆が欲しい、理由はさまざまあろうが、「フレーム+リジッド」のクルマを集めてみた。
トヨタ・ランドクルーザー200
ランクル200のフレーム。先述のようにフロントはダブルウィッシュボーン、リヤはもちろんリジッドアクスル。前後ともにコイルスプリングを用いる。ランドクルーザー200。止まったら死ぬ──そんなところを走るために仕立てられているのがランクルである。ランドクルーザー200。なんと神々しい……世界中からラブコールを受けるわけである。ランドクルーザー・プラド
日本仕様のプラドはディーゼルエンジンを選べる。フレーム自体は200系と同じ?ランドクルーザー・プラド。200系よりひとまわり小さいボディを持つ。ランドクルーザー・プラド。泥だらけなのに……格好いいですなあ。ハイラックス
ハイラックスのフレーム。リヤサスはリーフスプリングで懸架する。リヤブレーキもドラムを用いている。ピックアップトラックであるハイラックスは、13年ぶりに日本市場に復活投入された。こういうところも走れるのが、フレーム構造のいいところ。ただし、車輪が浮いたときはデフロックしないとトルクが抜けてしまう。レクサスLX
LXのボディ。フレーム部分はランクル200と共通。ランドクルーザー200のレクサス版がLX。ゴージャスな本格ラフローダーという、レンジローバーのようなクルマである。あちらはモノコックになってしまったが。レクサスLX。とはいえこんなシーンでもものともしないのはその素性故。キャデラック・エスカレード
エスカレードの……といいたいところだが、このイラストはシボレー・シルバラードのもの。エスカレードもこのフレームを用いている。キャデラック・エスカレード。北米での成功者が購入するクルマだという。キャデラック・エスカレード。アーバンも似合うゴージャスさ。3台連なるとVIP送迎のように見える。メルセデス・ベンツ・Gクラス
Gクラスのフレーム。初代の登場から39年、新型に切り替わった。セレブ御用達というイメージがすっかり定着したGクラスだが、本来はこういうクルマである。Gクラス。うおお……格好いい……。音を上げるのは人間が先という印象である。最後にジムニー
──といろいろ紹介してきたが、じつはジムニーは世界最強の一台である。小さくて軽いことは悪路走破にとって多大なメリットとなる。こんなガレ場もなんのその。道なき道をジムニーは今日も進む。