従来はレーダーまたは光電管で走行車の速度を測り、速度超過を確認した警察官が違反車を停止させ、近くに設けられたサイン会場と呼ばれるスペースに誘導した上で切符を切るという方式がとられていたが、以下のメリットにより、すでに17都道府県警がこの可搬式移動オービスを導入済み。機器は1台数百万~1000万円と高価だが、それに見合うコストパフォーマンス&取り締まり効率大幅アップにより、今後、さらに増殖していくに違いない。
ちなみに、導入が確認、または予定されている都道府県警は次の通り。
北海道/岩手県/秋田県/栃木県/埼玉県/東京都/神奈川県/静岡県/長野県/愛知県/岐阜県/富山県/香川県/滋賀県/兵庫県/大分県/宮崎県
☆可搬式移動オービスのメリット
・可搬式という名の通り、軽量かつコンパクトで設置も三脚に備え付けるだけという手軽さにより従来の大がかりな各装置の設置が不要な上に人員も最低2人いれば取り締まりが可能。
・違反車を撮影することでクルマとドライバーを特定することができるので、後日呼び出しによる検挙が可能。その場合、取り締まりスペースも最小限で済む。
・レーザー式の測定方式を採用する機器であれば、レーダー探知機が無効な上に、レーダーによる取り締まりに必要であった「無線取り扱い免許」および「無線局」の申請も不要。
というわけで、いろいろな面でお手軽になったということが、可搬式移動オービスの最大のメリット。最近、それを最大限に生かすために、速度取り締まりの拠点が、幹線道路からゾーン30を始めとする生活道路に移されている。ということは、我々ドライバーにとって、取り締まりがより日常的になるということに他ならない。
可搬式移動オービス導入のそもそも論はこちら! では、運悪く、可搬式速度取り締まりにより計測&撮影されてしまったらどうなるか。現在、取り締まり現場では違反者の検挙に関して次の2種類の方法がとられている模様だ。
1.その場で検挙
従来のネズミ捕りと同じく、警察官により停止を命じられ、その場で青切符、または赤切符を切られることになる。
・青切符(1~29km/hオーバー)の場合:違反を認めると、青切符にサインを求められ、サインの後、反則金納付書が渡されるので、それに従い、銀行や郵便局などで反則金を納めればそれで終了。(行政処分は別)反則行為なので刑事責任を問われることなく、また前科もつかない。(反則金は超過速度により9,000円から18,000円)
・赤切符(30km/hオーバー以上):違反を認めた後、事情聴取後に赤切符にサイン。その場はそれで終了。後日、簡易裁判所等から呼び出しを受け、出頭すると事情聴取の後に略式裁判へ進み、罰金を払えばその場は終了。さらに後日、免許センタ等で免停や検挙取り消しなどの行政処分を受けることになる。非反則行為なので刑事事件となり、前科がつく。(罰金は略式裁判により決定。6万円~8万円。60km/h超過だと10万円という例多数。ちなみに正式裁判に持ち込み有罪判決を受けると、最悪、懲役刑もありうる)
2.後日呼び出しにより検挙
後日、警察署(本庁or所轄)から出頭要請が来る。出頭すると、速度が印字された写真を見せられ、違反を認めれば青、赤どちらかの切符にサインすることになる。その後の流れは「その場で検挙」と同様。
本当は、固定式オービスと同様に、取り締まりに人員を割くことなく、後日呼び出しにより違反者を検挙できるというのがオービス本来のメリットなのだが、警察のいろいろな事情で、現時点ではあえてこの2種類の方法がとられている。当分は、このままのカタチで運用されるだろう。