また、データ書込み動作では、EEPROMやフラッシュメモリは書込み時間に加えてセクターの消去時間が必要になるが、FRAMは消去をせずに上書きのみとなるため、高速書込みを実現している。これにより、データ書込み中に瞬断などの電圧低下が発生した場合でも、FRAMは書込み中のデータを保護できる(図2)
さらに、本FRAMの動作電圧は1.8Vから3.6Vまでのワイドレンジのため、顧客製品に内蔵されているメモリ周辺の電子部品が1.8V、または3.6V動作品のどちらでも対応できる。動作電流は、1MHz動作時が最大250μA、スタンバイ電流は最大50μAと非常に少なく、低消費電力化を実現している。
パッケージは、既存のEEPROMと置き換え可能な8ピンSOPのため、顧客製品の設計を大幅に変更することなく本新製品に切り替えられる。
【主な仕様】
製品名:MB85RS4MT
容量(メモリ構成):4Mビット(512K x 8ビット)
インターフェース:SPI(シリアル・ペリフェラル・インターフェース)
動作周波数:最大40MHz
動作電源電圧:1.8V~3.6V
動作温度範囲:-40℃~+85℃
書込み/読出し保証回数:10兆回(1013 回)
パッケージ:8ピンSOP
富士通セミコンダクターは2018年4月に「-55℃動作のFRAM」、6月に「8MビットパラレルFRAM」、そして今回「4MビットシリアルFRAM」を開発して、市場に投入してきた。今後とも同社では、顧客の課題を解決するため、さまざまなアプリケーションに最適化したメモリ製品の開発を継続し、ラインナップの充実を進めていく。
FRAM: Ferroelectric Random Access Memory
強誘電体メモリ。強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。FeRAMとも呼ばれる。同社では、1999年より量産開始。