MAIN REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
「取り回す感じは車格相応のものだが、センタースタンドを立てる扱いはやや重かった。デジタル液晶表示のタコメーターは10000rpmからがレッドゾーン。豪快ではないが低速域で粘り強く高速域まで全域で頼り甲斐のあるスロットルレスポンスを発揮する。トップ100㎞/hクルージング時のエンジン回転数は約4300rpm。グリップヒーターや2座分のシートヒーター等充実の標準装備を誇り、パニアケース等のオプションも豊富。現実的な重量感に対して十分すぎるエンジンパワーは、国内の交通環境下で使うには、兄貴分のタイガー1200よりも、こちらのタイガー800の方が万能で向いているように思える」
両足のかかとは軽く浮いているが、足つき性としては、膝に若干の余裕を覚え、巨体を扱う割に不安感が少ない。シート高は810mmと830mmに可変可能だ。
●主要諸元
全長×全幅×全高 (mm) ―×795×1350
軸距 (mm) 1,530
シート高 (mm) 810-830
車両重量 (kg) 202
エンジン型式 水冷並列3気筒DOHC
総排気量 (cm3) 800
最高出力 (kW[PS]/rpm) 70[95] / 9,500
最大トルク (N・m/rpm) 79 / 8,050
タイヤ 前 100/90-19、後 150/70 R17
「基本的なデザイン等は同じだが先代モデル比で最大11㎏の軽量化を達成したことは、ライダーにとっては非常に大きいメリットである。搭載エンジンは直列3気筒横置きの水冷DOHC4バルブ1215㏄。800と決定的に異なるのは、チェーンドライブに対して1200はシャフトドライブを採用している点にある。長距離あるいは長年の使用でメンテナンスフリーを誇れる点はユーザーにとって大きなメリットを生むことは間違いない。ただし車重は800より40㎏重く、その手応えはズッシリと明確な差が感じられる。重さは必ずしもデメリットとは限らず、ドッシリと安定感のある走りは格別の物がある。高速長距離移動を悠然と落ち着きはらって巡行する安定性は抜群。トップ100㎞/hクルージングを3750rpmでこなす余裕しゃくしゃくな出力特性とともに、おおらかな気分の快適な乗り味を提供してくれるのだ」
タイガー800よりも踵の浮きが僅かに多かったが、足つき性としては大差ないように感じられた。ただ約40㎏もの車重の違いが大きく、扱う感じは自然と慎重なものになる。
●主要諸元
全長×全幅×全高 (mm) ―×930×1540
軸距 (mm) 1,520
シート高 (mm) 835-855
車両重量 (kg) 243
エンジン型式 水冷並列3気筒DOHC
総排気量 (cm3) 1,215
最高出力 (kW[PS]/rpm) 104[141] / 9,350
最大トルク (N・m/rpm) 122 / 7,600
タイヤ 前 120/70 R19、後 170/60 R17
「1200エンデューロのデザインが踏襲された外観とは裏腹に、跨がると意外とスマート。足つき性にも不安は無く、車体の引き起しもこの手のモデルとしては軽く扱える。ABS付きのブレンボ製ブレーキシステムや路面状況に合わせてバイクの動きを最適化するライディングモードなど最新の電子デバイスによる制御も好印象。7000rpmあたりから吸気音の咆哮がやや煩いが、トップ100km/hクルージングは4100rpmで快適にこなす。カウル関係はフレームマウントされ軽い操舵感も印象深い。この手のモデルの中では親しみやすい乗り味に魅力を覚えた」
ご覧の通り、車体は大きくシート高も840mmと高い。堂々たるアドヴェンチャーツアラーだ。足つき性はつま先立ちとなるのでバイクを支える時は極力垂直を保つように注意する必要があった。
●主要諸元
全長×全幅×全高 (mm) No Data
軸距 (mm) 1,594
シート高 (mm) 840
車両重量 (kg) 229
エンジン型式 L型2気筒 テスタストレッタ 11° 4バルブ デスモドロミック 水冷
総排気量 (cm3) 937
最高出力 (kW[ps]/rpm) 83(113)/ 9,000
最大トルク (N・m/rpm) 96 /7,750
タイヤ 前 120/70 R19、後 170/60 R17
「写真からもわかる通り足つき性に関しては弟分のムルティストラーダ950と同様。共にシート位置は高低が選択できるので、体格や好みに合わせれば良い。車体寸法は基本的に同レベルだがマフラーは右側2本出しとなる。車重は約3㎏(写真のSは6㎏)重くなり直感として1260の方が手強さを覚える。とは言えこの手のモデルとしてはチェーンドライブの採用も含めて軽快感があり押し歩く時も楽。その感覚はKTMの1090アドベンチャーに匹敵する親しみを覚えた。同ブランドの中でも最高峰のツアラーとして造られ、トップ100㎞/hクルージング時のエンジン回転数は約3500rpm。950のパフォーマンスも十分だが、やはり余裕綽々の走りは大きく異なりその快適性が魅力的である事は間違いない。そして軽快な操舵フィーリングも心地よい」
シート高は825mmと845mmに可変可能。写真はロー設定。両踵の浮き具合を見てわかる通り足つき性は950よりも良い。シート高データは15mm差。車重は7㎏程の差に過ぎず、排気量の割に軽快感があり扱いも楽な方だ。
●主要諸元●外車バイクを一気試乗! 第一弾【ドゥカティ・スクランブラー/トライアンフ・ボンネビルボバー&スピードトリプル/アプリリア・トゥオーノ/キムコ・GP125】●外車バイクを一気試乗! 第二弾【BMW・K1600グランドアメリカ&R1200RTスペシャル】
全長×全幅×全高 (mm) No Data
軸距 (mm) 1,585
シート高 (mm) 825-845
車両重量 (kg) 235
エンジン型式 テスタストレッタ DVT DS L型2気筒 デスモドロミック 4バルブ 水冷
総排気量 (cm3) 1,262
最高出力 (kW[PS]/rpm) 116.2 [158] / 9,500
最大トルク (N・m/rpm) 129.5 / 7,500
タイヤ 前 120/70 R17、後 190/55 R 17
1970年代にモトライダー誌の製作に携わり、その後フリーに転身。守備範囲はモーターサイクル、クルマ、大型トラックまで幅広い。