PEPORT●浜先秀彰(HAMASAKI Hideaki)
ふだんクルマを運転している人ならばよくわかるだろうが、ハンドルを握る限り、だれもが事故を起こしたり、事故に巻き込まれる可能性がある。そんなときアナタの代わりに正確に状況を記録し、「証人」となってくれる強い味方がドライブレコーダー(ドラレコ)なのだ。
ドラレコはフロントウインドーから見える車両前方の状況をカメラで撮影し、同時に車内の音声をマイクで記録。多くの製品はエンジン始動に連動して動作するため操作も不要だ。一般的に搭載レンズは広角タイプでボンネットの左右の端までをカバーするが、最近では特殊なカメラで360°の全方位の状況(窓から見える範囲)を捉えられるモデルや別体カメラの接続で前方と後方の状況を同時に録画できるモデルもある。機種によっては隣り車線からの割り込みや直後からのアオリ運転なども記録できるわけだ。さらに上級機種では内蔵のGセンサーによって車両の動き(急ブレーキ、急ハンドルなど)がわかり、GPSによって事故現場の詳しい場所や日時、速度などが把握できる。
ドラレコには大きく分けてワンボディタイプとセパレートタイプの2種類がある。ワンボディタイプは現在の主流になっているスタイルで、本体内にすべてのユニットを内蔵しており、ユーザー自身でも手軽に取り付けができる。ルームミラーの本体にカメラを内蔵したモデルや360°の範囲を撮影できるモデルもあり、バリエーションはきわめて豊富だ。
一方、セパレートタイプは本体のほかカメラ、スピーカー、GPSなどが別ユニットとなっているもので、目立たない装着ができる。本体をコンソールボックスなどに設置すれば大きな事故でも記録映像を守りやすいというメリットもある。取り付け作業は手間がかかるためショップに依頼する人がほとんどだ。近ごろはワンボディタイプの本体に別体カメラを付属したモデルなどもある。
画質が良ければ画面内の情報量が増えていくため、できる限り高画質なモデルを選びたいところだ。記録画質を左右するのはCMOSセンサーの性能で、カタログやメーカーウェブページの製品スペックには「記録解像度」という項目があり、一般的には数字が大きくなるほど高画質となる。多くの製品で使われているのは1280×720(HD)、1920×1080(フルHD)、2304×1296(3M)、2560×1440(WQHD)の4種類。また、同じ解像度であればセンサーのサイズが大きいほうが画質的には有利となる。上の写真は2560×1440(WQHD)と1280×720(HD)の記録映像の違いを比較したもので、イメージ的にはこれほどの差がある。なお高画質モデルほど価格設定は高くなる。
ミドルクラス機以上には画像補正を自動的に行うHDR(ハイダイナミックレンジ)やWDR(ワイドダイナミックレンジ)といった機能が搭載されている。これらは明暗差を自動的に補正してくれるもので、白飛びや黒つぶれを排除。トンネルの出入口や朝夕の逆光時などに効果を発揮する。また、カロッツェリアの「ナイトサイト」やユピテルの「スタービス」など、夜間走行で驚くべき高感度を発揮する機能もあり、ヘッドライトが当たらない路肩まで明るく映し出すことができる。
そして1秒間の撮影コマ数も確認をしておきたい部分で、コマ数が多いほど映像は滑らかな動きになるが、30コマ/秒の場合には西日本地域のLED式信号機が消灯して映るケースがまれにある。国内メーカーの製品は対策が施されているが、海外メーカーの製品についてはホームページなどで確認した方がいいだろう。