高速道路橋は、凍結防止剤の散布や沿岸部の飛来塩分により、鋼材の腐食による劣化が進行している。この課題に対し、鉄筋やPC鋼材などの鋼材を一切用いない超高耐久橋梁(Dura-Bridge)について、開発を進めてきた。これまでに、材料試験や要素試験により十分な強度特性を有していることを確認し、工事用道路として建設した実証橋により施工性や安全性などの確認を行うことで、本線橋への適用性を検証してきた。
2.本工事の目的
超高耐久橋梁の技術を確立できたことから、研究成果を実用化する。ただ、本線橋へは初採用となることから、まず比較的橋長の短い橋梁で工事を行い、得られた技術的課題の整理や実績工事費の精査を行う。本工事は、より橋長の長い橋梁へ超高耐久橋梁を展開していくための知見を得ることが目的。
3.工事場所
徳島自動車道土成IC~脇町IC間で工事を進めている「別埜谷橋」で、超高耐久橋梁を採用する。
4.橋梁の構造
工場で製作した複数のセグメントを現地に運搬し架設することで、橋長27.5mの橋梁を建設する。
5.スケジュール
6.通常構造との比較
■ 腐食劣化を排除
設計基準強度80N/mm2の高強度繊維補強コンクリートを使用することにより、鉄筋の配置をなくし、PC鋼材の代わりにアラミドFRPロッドを使用してプレストレスを導入することで、腐食劣化の可能性を排除した。
注)アラミドFRPロッド:PC鋼材の代替えとなる引張力に強い繊維を束ねた棒状の材料
■ 第三者被害の防止、 耐久性向上、 維持管理費の低減
鋼材腐食によるコンクリート片のはく落などの第三者被害が発生しない。また、耐久性を向上させているため、将来の維持管理の人的及び経済的負荷の低減が見込める。
7.今後の展開
本工事により得られた知見を活用し、当工法の適用拡大に向けた基準類の整備を進めていく。今後は、飛来塩分や凍結防止剤散布による鋼材の腐食環境が厳しい、高い耐久性が望まれる本線構造物への展開を目指す。